算数の想定合格点 40点
受験者平均点 34.7点
合格者平均点 45.1点
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早稲田中学校の学校の特徴や傾向分析、2018年の第1回の算数の分析はこちら
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早稲田大学の系属校であると同時に、東大への進学者数も非常に多い進学校でもある早稲田中。
中学受験においてはもちろん難関校ですが、比較的スタンダードな出題で知られています。
ただ算数の出題は難度の上下が激しく、試験中の柔軟な対応は必須です。
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ここからは2020年の第1回の早稲田中の算数の問題を通し、どうすれば合格点を取ることが出来たのかを考えていきましょう。
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〇:合格のためには必ず正解したい
△:差がつく問題なので、出来れば正解しておきたい
×:やや難度が高く、出来なくても仕方がない
として小問ごとに見ていきます。
解答例はこちら
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大問1
(1) 〇
帯分数にして分数部分だけを求めるというだけの、実質的には基本的な計算問題です。
約分できない分数(=既約分数)で求める際、101で割れることにもすぐに気が付くでしょう。
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(2) 〇
ニュートン算の典型題です。
塾で習ったどの解法を用いてもかまいません。
確実に正解しておきましょう。
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(3) △
食塩水のやりとりの典型題です。
解答例のように、食塩/食塩水全体の形で状況を整理し、後ろから戻って考えると良いでしょう。
もとの濃さを①や□1などと置いて考えようとすると計算が煩雑になるので、解法の選択に気を付けましょう。
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大問2
(1) 〇
早稲田中で頻出の角度の問題です。
「円・おうぎ形は中心から補助線」のセオリー通り、円の中心から各頂点に補助線を引くと、半径を利用して二等辺三角形を作ることが出来ます。
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(2) 〇
正方形の回転の典型題です。
対角線の長さは求まらないものの、対角線×対角線なら求まるという発想は定番ですね。
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(3) 〇
円錐台の表面積を求めるだけの基本問題です。
×3.14で計算を整理し、確実に正解しましょう。
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大問3
(1) 〇 (2) △ (3) △
樹形図を描いたり、表で整理したりして規則を求めても良いですが、解答例のように真上から潰した図で把握すると最もスムーズに正解することが出来そうです。
様々な塾の上位コース向けのテキストに掲載されている解法で、平成21年の駒場東邦中でも出題された内容です。
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(4) ×
場合分けをして考えようとしても、処理量が多くなりすぎてしまいます。
解答例のように
「3秒後に、もとと違う点にいるのが7通り」
「そこから3秒後に、もとと違う点にいるのが7通り」
「そこから3秒後に、もとと同じ点にいるのが6通り」
と考えられると良いでしょう。
解法を思いつかなかった場合は後回しにすべき問題です。
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大問4
(1) 〇
速さと比の基本問題です。
兄が40m進む時、弟は100m進むので、兄と弟の速さの比は2:5と求まります。
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(2) 〇
兄の走った距離を求め、速さで割るだけの問題です。
円周率が22/7であることに気を付けながら、分数で計算処理をすれば、短時間で正解にたどり着くことが出来るでしょう。
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(3) △
(2)で求めた時間で弟が何m進んだのかを求め、それを12で割って一周の距離を求め、さらにそれを22/7で割って、直径を求めます。
計算量が多くなるので、分数での処理は必須でしょう。
なお求めるものはジョギングコースとサイクリングコースの間隔なので、半径の差であるということにも気を付けましょう。
発想は決して難しくはないですが、計算量の多さと、求めるべきものを見誤りやすい点で、正解できた受験生は意外と少なかったかもしれません。
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大問5
(1) 〇
もとの立方体から三角錐を2つ除くだけの問題です。
基本的な問題です、確実に正解しておきましょう。
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(2) ① △ ② ×
立体の2回切断は多くの受験生が苦手とするテーマです。
「切断面と切断面の2つの交点を結ぶと、新しい切断面の一部になる」というルールに沿って考えます。
この問題では、まずはAとBを切り落として出来る図形を考えましょう。
解答例のような見取り図になることが分かります。
あとはGとHも同じ切り方なので、その状況を投影図に落とし込みましょう。
②で体積を求める際は「どんな立体を取り除いたか?」を考えることがポイントです。
AとBを切り落とす時は「三角錐2つの体積の和から重複する三角錐を除いたもの」これを取り除いたと考えます。
もちろんGとHも同様です。
最上位コースでは典型題ではあるものの、立体の2回切断をあまり扱ってこなかった生徒にとっては厳しい問題だったと言えるでしょう。
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(3) △
(1)(2)で手を動かしていれば、見取り図のように、正八面体が出来ることが分かります。
真上から見るともとの正方形ABCDの中点を結んでできる正方形だと言うことが可能です。
(2)が出来なくても、感覚的に出来た受験生も一定数はいたことでしょう。
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この出題の結果、受験者平均点が34.7点、合格者平均点が45.1点という、やや高めの得点水準となりました。
大問2の図形の小問集合が例年よりも易しかったことが理由となるでしょう。
合格のためには、まずは〇の箇所で
大問1で 8/12
大問2で 12/12
大問3で 3/12
大問4で 8/12
大問5で 3/12
を確保して34/60、あと2問ほど正解できれば充分です。
算数が得意な受験生にとっては大問3、大問5も決して難しくはないので、大きなリードを取ることも出来たのではないでしょうか。
2021年以降に早稲田中の合格を目指す受験生の皆さんは、まずは通っている塾での学習を丁寧に進めましょう。
早稲田中の算数では、知識の量が得点に直結します。
その上で過去問演習を重ね、適切な難易度判断が出来るよう練習しておきましょう。
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