「自念自動」の教育方針のもと、生徒の自主性を育む、伝統のある女子校である日本女子大附属中。
緑豊かな広大なキャンパスも大きな魅力です。
また自由な校風のもと学校行事も非常に盛んで、学問にとどまらず芸術分野を含めて各界に有力なOGを輩出していることでも知られます。
大学受験においては多くの生徒が日本女子大に推薦を受けて進学しますが、推薦資格を持ったまま他大学を受験することも可能で、理系進学者も目立ちます。
中学受験においては、算数・理科・社会の3科目は知識の量と正確さ、そして時間内に手際良く処理するスピードが問われます。
国語に関しては出題傾向が安定しません。
記述力も重視されるので入念な対策は必須です。
なおかつては各科目50点ずつの均等配点でしたが、現在は算国が60点ずつ、理社が40点ずつの傾斜配点となっています。
ここからは2018年第1回の算数の出題を通して、日本女子大附属中に合格するためのモデルケースを考えていきましょう。
〇:日本女子大附属中合格のためには確実に正解したい問題
△:合否の差がつく問題
×:正解できなくても合否には影響が小さい問題
大問1
(1) 〇
×3.14で整理する基本的な計算問題です。
8×6.28を16×3.14と言い換えられるかがポイントです。
(2) 〇
計算量のやや多い逆算です。
原則としては小数を分数に変換して計算しますが、この問題では分数を小数に変換しても良いでしょう。
(3) 〇
(1)と同じような発想を用いると良いでしょう。
全て『7×』に置き換えると、( )の中は7×36+7×20+7×□=7×80と言い換えることが可能です。
(4) 〇
基本的な速さの換算です。
m/秒をkm/時に換算する際に60×60÷1000=×3.6と考えることは中学受験の算数の基本的な工夫です。
(5) 〇
小数を分数に換算して計算しましょう。
分母が4や8になる数は、必ず覚えておきましょう。
大問2
(1) 〇
逆比の基本問題です。
A:B=0.75:0.45と考える受験生は少ないでしょう。
(2) 〇
基本的な順列の問題です。
Aが1番目の時と、4番目の時それぞれで計算しましょう。
(3) 〇
□×1.05×1.05=9702 と立式しましょう。
分数で処理しても良いでしょう。
(4) 〇
割合の基本問題です。
線分図で整理しましょう。
(5) △
(4)同様、線分図で整理しましょう。
残った個数が同じなので揃えてみると、差の②=100-68=32個になります。
「同じものは揃える」のは線分図の鉄則ですね。
(6) △
1gあたり0.9円と1gあたり1.15円を、合わせて100gで110円とつるかめ算と考えても良いですし、90円、110円、115円で天秤を使って考えても良いでしょう。
(7) 〇
「円・おうぎ形は中心に注目」という鉄則通りの問題です。
半径の長さが等しいことから、二等辺三角形・正三角形を探しましょう。
(8) △
「頂角が30度の二等辺三角形」も中学受験における定番です。
「正三角形の半分」を利用して、底辺と高さを設定しましょう。
(9) △
おうぎ形を底面とする柱となります。
まずは(3×2)×3.14×□=6.28として中心角を求めましょう。
大問3
(1) △
クラスの合計点は6×40=240点
7点の人と3点の人以外の合計点を求めることで、つるかめ算に持ち込みましょう。
中学受験頻出の典型題です。
(2) △
こちらも典型題です。
5点の人は2点+3点の5点と、5点が1問の5点の2通りあることを利用しましょう。
大問4
(1) 〇
「底面からの高さの平均=深さ」という基本知識の確認です。
同じものを2つつなげて考えても良いでしょう。
(2) △
(1)と同様に高さの平均と考えます。
底面の中心と対角線の交点を結んだ高さが平均となることを利用しましょう。
大問5
(1) △
グラフの変わり目に注目しましょう。
3秒で12cm進み、これが長方形の縦の長さに相当します。
あとは□×12÷2=96㎠と立式出来れば易しいでしょう。
(2) △
DCに3秒かかるので、11-3=8秒後に面積が0㎠、すなわち点PがDに着くことが分かります。
BからDまで8-3=5秒かかるので対角線BD=20cmと求まります。
もちろん3:4:5の三角形として考えてもかまいません。
(3) △
CからBへの移動では高さが変わらないため、面積も一定であることがポイントです。
(2)まで出来ていれば確実に正解したい問題です。
大問6
(1) △
情報量の多いグラフですが、必要な内容を見抜きましょう。
Pに注目するとAからBまでの上りに70分、BからAまでの下りに50分かかることが分かります。
km/分という珍しい聞かれ方をしているので、単位にも気を付けましょう。
(2)① △
70分で28km上ったことを利用しましょう。
こちらの単位もkm/分なので、気を付けましょう。
(2)② ×
ダイヤグラムと相似を利用しても良いですが、むしろ繁雑な計算になってしまいます。
80分の時点でQがどこにいるかを計算し、旅人算として解いたほうが確実でしょう。
やや計算量が多いので、後回しにしても良い問題です。
(2)③ △
Qの動きのみに注目すればよいので、②よりむしろ易しいでしょう。
120-70=50分間で何km戻されたのかを考えましょう。
(2)④ △
こちらも②の出来に関係なく求めることが可能です。
下りの速さを求めて、③の結果から何分後かを計算しましょう。
2018年度第1回入試も出題量、内容ともに例年と同程度と言えそうです。
受験者平均点が37.4点、合格者平均点が43.7点、入試の実質倍率は1.7倍なので、算数は平均点を上回れば充分に合格ラインに届くと言えそうです。
今回は合計で26問、〇が11問、△が14問、×が1問です。
合格のためには〇で9/11、△で7/14、×で0/1、合計で16/26=約37/60が目安となるでしょう。
大問1の計算と大問2の小問集合の配点が大きいので、ここでの得点率が勝負を分けると言えそうです。
来年以降、日本女子大学附属中への合格を目指す皆さんは、
①まずは基本的な解法知識の量を増やす
②次に過去問を通してスピードの向上を中心としたテスト戦略の確立を図る
という流れで学習を進めてみましょう!