千葉私立御三家の一角の市川中学。
運動部、文化部のいずれも活動が盛んで、またSSHにも指定されている明るい雰囲気の共学校で、生徒の個性を伸ばす教育に定評があります。
進学実績も好調で、2018年も18名の東大合格者を輩出し、千葉県内では渋谷幕張高校、県立千葉高校に次ぐ3位の人数を記録しています。
中学受験においても非常に注目度の高い学校です。
1月20日に幕張メッセで実施される第1回入試は3000名近い受験生が集まります。
4科目100点ずつという均等配点も特徴的です。
理科社会もバランス良く学習している生徒が欲しいというメッセージなんでしょう。
算数の出題に目を移しましょう。
受験算数の解法知識の充実に加え、その場での読み取りや作業を問われる問題が散見されることが特徴です。
この思考系の問題の量と難度によって全体の平均点も大きく上下するので、事前に目標点を定めず、解くべき問題を、その場で適切に見極めることも重要な要素となります。
ここでは2018年第1回入試の算数において、どうすれば合格を勝ち取ることが出来たのかを考えてみましょう。
〇:市川中学への合格のために確実に正解したい問題
△:市川中学の合否を分けた問題
×:正解できなくても差はつかない問題
大問1
(1)① 〇 ② 〇
基本的な計算問題です。
計算の順序が怪しいようでは、市川中合格は難しいでしょう。
(2) 〇
平均算の典型題です。
ABCの3人の場合も、CDEの3人の場合もCが含まれることに注目しましょう。
(3) 〇
「3ページで1000文字を1セット」と考えましょう。
98000÷1000=98セットと、ちょうど割り切れるので易しいでしょう。
(4) 〇
外角の典型題です。
①②③…と順に考えると、結局①+⑦+⑦=⑮=180°と言い換えることが出来ますね。
(5) △
一見すると見慣れない形ですが、「円・おうぎ形は中心から補助線」という鉄則に基づいて補助線を引きましょう。
結局、四分円から直角二等辺三角形を引いたものが2つ、と言い換えることが可能です。
大問2
(1) 〇
△ABCにおいてBCを底辺としたときの高さを求める、と言い換えましょう。
(2) 〇
真上から見た図で考えましょう。
中心Aから最も遠い点はC、最も近い点は(1)で求めたHになります。
この問題も、どの塾のテキストにも掲載される典型題なので正解したいところです。
大問3
(1) △
「8秒で右に2cm進む」を1セットと考えます。
20÷8=2セット・・・4秒だから、2×2+4=8cmと導きましょう。
(2) ×
まずは100秒よりも後の8の倍数である104秒後を考えます。
この時、Pは右に26cm、Qは右に4cmなので22cm差になります。
以降は8秒で6cm近づくと考えると、128秒後にPは右に32cm、Qは右に28cmで4cmの差になり、ここから細かく見ていきます。
5秒間は差が変わらず、そこからは基本的な出会いの旅人算で答えを求めることが出来ますが、やや面倒なので正解できなかった生徒も多いことでしょう。
大問4
(1) △
多くの受験生が苦手とするN進法からの出題です。
(1)は2進法で10番目なので、書き出していっても問題ないでしょう。
0を1番目とする、という条件の見落としに気を付けましょう。
(2) △
3進法です。
小さいほうから1の位、3の位、9の位、27の位と考えましょう。
27×1+9×1+3×1+1×2=41となりますが、今回も0を1番目と考えるので42番目となります。
(3) ×
変形4進法です。
小さいほうから1の位、4の位、16の位、64の位と考えましょう。
また8は3番目の数字と言い換えて、
64×2+16×0+4×1+1×3=135、0が1番目だから136、と解いていきます。
注意点が多く、間違えやすい問題です。
大問5
(1) 〇 (2)〇
水槽と比の典型問題です。
正面から見た図に、かかった時間を記入していきましょう。
どの塾のテキストにも掲載される問題なので、確実に正解したいところです。
(3) △
128分で半分ということは、満水になるのは256分後です。
また深さ40cmは全体の深さ60cmの2/3なので、256分の2/3倍だと気づくことが出来るでしょう。
遠回りな解法を選択しないよう、気を付けたいところです。
大問6
(1) △
△EATと△EQCの和は、底辺が同じ8cmで高さの和が8cmであることから32㎠と分かります。
同様に△EAPと△ESCの和は、底辺が同じ4cmで高さの和が12cmであることから24㎠となり、和を求めれば良いと言えます。
たしかにこの発想は難しいですが、Eを長方形の中心と仮定しても問題文の条件を満たしてしまいます。
答えを求めるだけなら決して難しくはない問題です。
(2) △
四角形ETAPと四角形EQCSの和の㉘が56㎠にあたります。
全体から㊱を除くだけなので(1)が出来れば易しいでしょう。
このように見ていっても、2018年度の第1回入試は典型題が中心で比較的取り組みやすかったと言えるでしょう。
平均点も60.4点/100と、やや高めの数値となりました。
総合点では受験者平均点が211.3点/400、合格者最低点が220点/400なので、算数で70点というのが合格の目安になりそうです。
小問数は18問で、〇が9問、△が7問、×が2問の内訳なので、合格のためには
〇で8/9、△で4/7、×で0/2の合計12/18=67点が現実的な得点パターンでしょう。
大問4のN進法でリードすることが出来れば、合格を大きく引き寄せられたと言えそうです。
ただ来年度以降もこの難度が維持されるとは限りません。
2014~2018年までの第1回の算数の平均点も58.3⇒43.6⇒72.3⇒58.4⇒60.4と推移してます。
合格のためにはコツコツと基礎知識を積み重ねることと、過去問を通して市川らしい難問に慣れることの両方を心がけていきましょう。