女子学院(通称:JG)はキリスト教を基盤として1870年に創立された由緒正しい伝統校です。
千代田区の番町にあり麹町駅から徒歩3分、半蔵門駅から徒歩6分、他にも市ヶ谷駅や四谷駅からも徒歩圏内でアクセスは抜群です。
制服やこまかな校則がないため自由な校風に憧れて目指す受験生は多いでしょう。
一方「女子御三家」の一角として有名な進学校ですが、単に有名大学への進学に特化しているのではなく、学ぶこと全てに意味や喜びを見出し、自発的な学習を促すような指導を行っています。
そのため授業では実験や観察などの体験学習や互いの考えを議論し合う機会が多く取り入れられているのも特長です。
また、「他者との違いを受け入れ、1人ひとりの個性を尊重する生き方を創り出していく」という教育方針のもと、勉学だけではなく多彩な活動にも力を入れやすい学校ですね。
卒業後は学術面のみならず文化や芸術など様々な職種で活躍されている方が多い印象があります。
そんな魅力あふれる女子学院に合格するためにはどのような対策をとればいいのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
※学校からは合格者平均点や合格最低点などの詳しい情報は公表されていないので過去問を分析して想定される合格点を載せています。
【女子学院 算数 概要】
・100点満点で制限時間は40分
・大問は全部で6問か7問で小問の合計は20~30問ほど
・想定合格点は70点ほど
結構なボリュームですが、制限時間は40分とかなり厳しい設定になっています。
2018年までは易しめの問題を「速く、正確に」解くことが求められてきましたが、2019年は想定合格点も55点ほどと、状況がガラリと変わってしまった年になりました。
そこから傾向にやや変化が見られ、少し難易度が高めの出題になっています。ただ、構成や問題量などは変わっていないので過去問演習を繰り返し、問題文を素早く理解する読解力と解法につなげる情報処理力を身につけられるといいでしょう。
※2024/6/5に学校HPにて2025年度の入学試験から問題用紙と解答用紙を分ける形式に変わることが発表されました。
あの狭い解答欄にたくさんの解法を書いてくのは大変だったと思うので改善されるといいですね!
問題内容や制限時間などの変更は発表されていないので今後の動きには注意しておきましょう!
それでは2024年においてはどのくらいのレベルでどの問題が正解できればいいのか一つ一つ見ていきましょう。
解答例はこちら
問題の難易度を以下のようにレベル分けしています。
A 必ず正解してほしいレベル
B 正答率にバラつきがあるかもしれないが正解してほしいレベル
C 努力次第で得点できるので差がつくレベル
D 難易度が高いいわゆる捨て問レベル
大問1
⑴ 計算問題 A
⇒例年ここは計算問題になっています。ごく一般的な計算問題ですが工夫をしてすっきり爽快!!というわけにはいきません。計算途中に変な数字が出てくることもあるため解きにくく、自信が持てない答えになることもしばしば。
⑵ 平面図形
ア C
⇒補助線をたくさん引かなければ求められない発想系はなかなか難しいですね。
解答例のようにまずはセオリー通り、円の中心から円周上の点Cに向かって線を引き、二等辺三角形(OBC)を作りましょう。角BOCが10等分したうちの3つ分で108°とわかればアは簡単に求められますね。
イ C
⇒解答例のように円周上のCからDに向かって垂直な線を引き、直角三角形(DBC)を作って求めていきましょう。
ウ C
⇒解答例のように円周上のBからEに向かって線を引き二等辺三角形(BAE)を作りましょう。
角EBDがアと同じになることに気づけるかがポイントになります。
⑶ 平面図形 C
⇒こちらも解答例のように垂直な線を引き、5:12:13の相似な三角形を作ります。折り返しているので同じ角度になる部分に注目すると相似を見つけやすいでしょう。変な数字ですが自分を信じて解答しましょう。
※以上の4題の平面図形は1枚目としては難易度は高め。とっつきにくく、後々のペースを乱す可能性が高いのでパッと解法が浮かばないようであれば飛ばしてしまっても構わないでしょう。
⑷ 規則性
① A
⇒解答例のようにはじめの3本をのぞいて7本ずつのグループにわけて考えると簡単ですね。1つのグループに正三角形が2つ、正方形が1つできます。
② A
⇒①と同様に考えていきましょう。正三角形は2つずつあること、はじめの1つを足し忘れないことに気を付けましょう。
⑸ 過不足算 B
⇒11個配った人を①人、7個ずつ配った人を①+5人と置いて消しゴム全体を求める式を立てると全員に10個ずつ配った場合は⑳+18、じゃんけんした場合は⑱+44と表せます。あとは消去算で解きましょう。
大問2 和と差に関する問題 B
⇒クッキーと箱の金額が偶数なのでケーキの個数を奇数にしなければ十の位が90円にはならないことに注目して表を書いてもいいですし、ケーキが2個減ってクッキーが2枚増えると全体で520円ずつ減っていくことに注目して計算で出してもいいでしょう。
大問3 立体図形 体積A 表面積B
⇒体積は下の図のように凸部分を下までさげて半径が3cm、高さが2cmの円柱として計算しましょう。
⇒表面積はどの問題でもそうですが、“上下”や“側面”などのメモ書きをしながら立式していくとミスしにくく、後から見直しがしやすいです。この場合も側面積が抜けやすいのでしっかりメモを書きながら慎重に式を書いていきましょう。
また、ここでミスしやすい注意すべき点は解答例の赤と青の部分、くりぬかれている内側の側面積です。赤の①は上の黒の①の側面と同じ、青の②は上の黒の②と同じ面積になっています。計算自体は易しいので確実に得点できるよう、丁寧に取り組みましょう。
大問4 速さ C
⇒いつものようにどの駅も一直線上にあると考えると条件に合わず混乱してしまいます。この問題ではA、B、C駅と家の位置関係は以下のようなイメージです。
さらっと読んだだけでは捉えにくいので問題文をよく読んでどんな設定になっているのか正しく読み取りましょう。
方法1と2はどちらもかかる時間が同じで、電車に乗る時間と自転車に乗る時間が同じなのでA駅~B駅までの時間=B駅~家までの時間になります。→16分×2=32分
バスの速さがわかっているのでA駅~C駅は27分と求められます。よってC駅から家まで歩いた時間は32-27=5分とわかります。
そして解答例のようにC駅から家までとB駅から家までの線分図を描いて考えていきます。
歩く速さを①、自転車の速さを①+116とおいて仮の距離を求められればあとは簡単ですね。
大問5 数の性質
⑴ A
⇒問題文が読めれば難なく正解できますね。必ず得点できるようにしましょう。
⑵ B
⇒2の10乗が1024になることは知っていますか?
それを使うと11回目が2048とわかるので簡単に解くことができますね。
知識として覚えておきましょう。
⑶ C
⇒2024を素因数分解していくと3回割ったところで「253」と奇数になるので、ここでBの操作をすればいいことがわかります。次もまた「127」になるのでB
の操作を入れると128になり、あとは全て2で割っていけますね。⑶なので飛ばしてしまってもいいかもしれませんが、落ち着いて取り組めば難しくないので正解できれば他の受験生と差をつけることができるでしょう。
大問6 平面図形 C
⇒色々な解き方がありますが、今回は円系の補助線のセオリーを完全に無視した一番シンプルと思われる解法をご紹介しますね。
解答例のように大きい正方形同士を結ぶ線を引くと大きい正方形1つ、長方形4つ、直角二等辺三角形4つにわけることができます。★の面積が2㎠なので□は2cmとわかります。あとは長方形の面積を求められれば簡単ですね。
補助線の引き方さえ思いつけば簡単に解くことができますが、終盤にこのような発想系の平面図形はなかなか厳しいですね。
短い時間の中、焦りがある状況で解法を考えるのは難しいと思うので、すぐに思い浮かばなければ後回しにしてしまうことも選択肢の1つです。
(労力の割には1問だけで配点は高くないですしね)
大問7 流水算
⑴ C
⇒最後の問題なので身構えてしまうかもしれませんが、決して難しくありません。
状況を把握するために問題をよく読んで動きを正確に線分図に描きましょう。
JとGの速さの差が一定だから進んだ距離の差の比が時間の比になります。つまりJの上りと下りの時間の比が2400:1920であるとわかりますね。説明するとかえってわかりにくいかもしれません。(なんとなく、感覚でわかってくれるといいな・・)
⑵ B
⇒⑴がわかればあとはただの流水算ですね。AB間の距離は速さの比=距離の比を使って解きましょう。Gの下りの速さは③の情報を使って求めましょう。
あとは解答例のようにJとGの上り、静水、下りの速さの比を使って出していきましょう。
⑶ 1回目B 2回目C
⇒1回目は速さが求まっていれば難なく正解できますね。
2回目は解答例のようにダイヤグラムを描いて考えましょう。JとGのそれぞれが着く時間を求めて正確に書き込み、相似を使って解いていきましょう。
以上が女子学院2024年算数の問題の傾向と分析になります。
制限時間は40分で大問7題、小問25題で例年通りの形式となりました。
内容としては1枚目の図形問題が例年と比べて難易度がやや高く、ペースを乱されてしまう受験生は少なくなかったかもしれません。
また、2枚目の大問4は初めから正確に読み取ることが難しい設定になっているのでここで時間をとられてしまう可能性が高いでしょう。
大問5では丁寧な作業力、大問6では発想力を問われているので本来なら試行錯誤しながらじっくりと考えたいところですが、時間が迫っている。大問7の速さにもしっかり取り組まなければならないのに・・!!と、この年は問題の取捨選択が難しく、算数を得意としている子でも点数が取りにくかった印象です。
また、全体的な難易度はやや高めでしたが、捨て問レベルのDはありませんでした。
以上のように2024年は時間配分を間違えず、問題文を読んで正しく理解する読解力と手際よく解き進めていける処理力をうまく発揮できたかが合格のカギとなったでしょう。
いかがでしたでしょうか?
各単元しっかり演習を重ねて定着を図り、秋以降はスピードを意識しながら過去問演習をたくさんこなして合格を目指しましょう!!
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