先進的な理系教育や手厚い進路指導に加え、運動部の活動も熱心で、文武両道を目指す多くの受験生から注目を集めている城北中学。
中学校の入学試験は3回実施されます。
算数の出題傾向は回によって若干異なります。
まずは1日の第1回は第一志望とする生徒も多く、基礎を中心に過去問演習量が反映されやすい出題になっています。
次に2日の第2回は、トップ校の併願として受験する生徒も多いため、難問の占める割合が高まります。
最後の4日の第3回は、幅広い受験者層に対応できるよう、基礎から応用までが幅広く問われます。
共通する内容としては「図形の配点割合が高い」こと。
一般的な試験では数:図形:文章題が3:3:4くらいであるのに対して、城北中では4割を超えることも珍しくありません。
男子上位校でよくあるタイプの配点割合です。
難度は安定せず、上下差が大きいので予め目標点を定めるのではなく、正解できると判断した問題を確実に正解するよう心がけることが重要です。
さて今回は第1志望の生徒が多く受験する、2018年の第1回の試験に注目し、合格するための戦略を考えてみましょう。
〇:城北合格のためには必ず正解したい問題
△:合否を分ける問題
×:正解できなくても合否には影響しない問題
大問1
(1) 〇
普通の計算問題です。
計算の順序や、分数⇔小数の換算などに気を付ければ、確実に正解できるでしょう。
(2) 〇
普通の逆算です。
分数⇔小数の変換に気を付け、確実に正解しましょう。
大問2
(1) 〇
捻りのない食塩水の混合問題です。
天秤か面積図で確実に正解しておきましょう。
(2) 〇
こちらも捻りのない仕事算です。
全体量を1としても最小公倍数の70としても、どちらでも良いでしょう。
ここまでは確実に正解したい問題が続きました。
(3) △
正六角形は正三角形6つの集合体だと考えましょう。
1辺30cmの正三角形は1辺10cmの正三角形の9個分になり、1辺20cmの正六角形は1辺10cmの正三角形の4×6=24個分になると言い換えることが可能です。
(4) △
おうぎ形の折り返し問題です。
「折り返す前と後が同じ」「半径は同じ」ことを考えると、△DAOが正三角形になることに気づきます。
(5) △
「円・おうぎ形は中心から補助線」の鉄則通りに取り組みましょう。
等積変形を利用することで、120°のおうぎ形と等しくなります。
(6) △
はじめの〇を0として、以降6,12,18…と増えていくと考えましょう。
1周の50個との最小公倍数を利用することに気づけば、難しい問題ではありません。
大問3 〇 〇
和は6種類あるはずなのに候補が5個しかないということは、A+DとB+Cが等しいと気づくことが出来るでしょう。
中学受験の典型題なので落とせません。
以降は簡単な和差算で完答することが出来るでしょう。
大問4
(1) 〇
与えられている情報量が多い流水算のダイヤグラムです。
必要な部分だけに注目することがポイントです。
(1)では、はじめの80分に注目して上りの速さを、最後の45分に注目して下りの速さを求めましょう。
(2) 〇
はじめの150分に注目しQの上りの速さを求めましょう。
(1)より流速が求められているので、Qの下りの速さを出し、最後から戻って考えましょう。
(3) △
190分の時点に注目して旅人算として解いても良いですが、ダイヤグラムの相似を利用したほうが賢明でしょう。
大問5
(1) 〇
立体図形の切断のうち、最も初歩的なタイプです。
今回は利用しませんが1:1:2の特殊な三角錐の展開図が正方形になることは知っておきましょう。
(2) 〇
相似比が1:2なので、面積比は1:4と求められます。
こちらも確実に正解したい問題です。
(3) ×
平成15年の駒場東邦中と同じ図です。
こちらは切断面を正しく記入することが難しいでしょう。
全体的に取り組みやすい問題が並びました。
受験者平均点64点、合格者平均点77点は、かなり易しい部類に入ります。
合格のためには70点強が目安でしょう。
出題量に目を移すと合計16問で、〇が9問、△が6問、×が1問というバランスです。
〇で8/9、△で4/6、×で0/1の、合計12/16=75/100と言うのが合格のモデルケースでしょうか。
見たことのある典型題を確実に拾い集めれば、充分に合格を果たすことが可能ですね。
また城北は入試情報も比較的オープンな学校です。
学校主催の説明会にも足を運び、出題意図や出題予定分野に関して情報を収集することで、より可能性を高めることが出来るでしょう。
受験生の皆さんの健闘を祈ります。