個別指導塾は1対1、1対2とあるけど…どの形態が一番効果があるのかしら?
珍しく結論から申し上げますが、個別指導に関しては、1対1のみが有効で、それ以外はメリットがほとんどないと思われます。
1対2でも受けたい先生の授業は受けられるし、何より安いですよね…
サカセルは1対1しか採用していないのには、明確な理由があります。
ここからは、個別指導の形態、実際どういう授業が行われるのかなどについて、お話ししていきたいと思います。
●個別指導塾の形態
1人の講師が多人数の生徒に向かって、多くの生徒の役に立つような「最大公約数」的な授業を行う集団授業と違い、
個別指導に関しては大きく2つ。
① 講師1人に対して生徒1人(1対1と表記します)
② 講師1人に対して生徒2人以上(1対2と表記します。)
です。
他にも、講師1人に対して生徒が3人の1対3も聞きますが、②の1対2とほとんど効果(メリット)・デメリットなどは同じです。
※繰り返しになりますが、サカセルで受講できる授業は「1対1」のみです。
●1対2の授業内容
生徒1人目、生徒2人目とします。
5分 新しい単元の導入 指定した問題の演習
15分 問題演習開始 解いた問題の解説
30分 解いた問題の解説 演習開始
45分 演習開始 問題の解説
60分 解いた問題の解説 演習開始
75分 演習開始 問題の解説
90分 解いた問題の解説 その他連絡など
※合間に2人分の連絡帳の記入などアリ
はっきり言って「個別指導」と言う名の「質問教室」に終始することがほとんどです。
ですから2人の場合、授業時間90分に対して、直接レクチャーを受けられる時間は最大で1対2で最大45分。1対3なら最大で30分です。
おとなしい性格で積極的に聞けない子や、そもそも自発的に勉強をする習慣がない子だと、「自分のために解説される時間」はもっと少なくなるでしょう。
解いた問題の○・×のコンディション以外に、改善点を見つけるのはかなり難しく、習った内容を練習する場もありません。
●1対2はこんな授業(増田の場合)
増田の例 国語&社会の生徒A 国語の生徒B
5分 持ってきた教材の確認 本日やることをどちらにも伝達
17分 社会のプリントの実施 持ってきた質問の解消
29分 社会のプリントの解説 質問解消時に要素を説明した記述問題の直し
41分 持ってきた質問の解消 塾の教材で未習のものの、読解演習課題実施
53分 質問解消時に要素を説明した記述問題の直し 読解演習課題の解説
65分 指定した内容を使用しながら演習課題開始 読解演習を受けて、必要事項をノートにまとめ
77分 演習課題の解説 ノートに記入した内容を使用して演習課題開始
89分 必要事項をノートにまとめ 演習課題終了
※合間に2人分の連絡帳の記入などアリ
昔を思い出して書いてみました。
「1対2でも、その日に習った内容を練習できる時間を作ること」「その日までにたまった質問に答えること」の2つは、必ず行うようにしていました。
実は、昔は「1対2の授業がある日」は嫌で嫌で仕方ありませんでした。
国語や社会の板書(ノート)の案については、「この単元はこう書く」という自分なりの案を中学入試の全ての単元で用意しているものの、
約90分の授業の構成の検討
生徒1人1人でどの時間帯に内容を実施するのかの選定
想定される答えの複数パターン想定
それに対してのノートに記入する内容の選定
演習教材の選定・解説時に予定時間がはみ出してしまったとき用の優先順位の検討
など、
「事前に頭の中で考えておかなければならない内容」が多すぎて、頭を悩ませていました。
そうしなければ、演習中のちょっとした時間などで、「その子に必要な改善点」を見つける時間を取るのは、不可能に近かったと思います。
「授業中に『生徒さんの視線の先』などを見ていること」
「導入する際に書く内容や色遣いがほとんど固定されていること」
「単元導入のスピードが速いこと」
という授業の特徴は、恐らくその頃の経験が生きているのでしょう。
当時、授業の数は今と比べても多く、1日8コマが毎週2日ほどありましたが、1対2は一日の授業の中で最大でも1コマのみにしていたこともあり、「何とか回せていた」というところです。
国語の1対2以上は本当に難しい、というか一定以上のレベルを保って授業をしている人はほとんど皆無だと思います。
「1対2や1対3の授業が標準です」と言っている塾では、授業内容の吟味を「本当に」行っている先生はほとんど皆無だと思います。
(職場でご一緒させていただいた人の中で、そこまでしている人はたった1人だけでした)
唯一、例外は「1対2が相手だが、どちらも同じテキストで同じ授業をする場合」。
要は集団授業でやることと同じなので、「演習中の様子をチェックする時間」が作れます。
「双子の生徒たちに、『歴史の導入』を4コマの授業で行ってほしい」というケースなど、特殊なケースでのみ効果があると言えます。
●1対2のメリット・デメリット
メリット
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1対1より費用が安い。
-
隣の子が「合う」場合は、ライバル意識が芽生えることも…わずかですがあります。
正直、「費用が安い」以外にほとんどメリットが感じられません。
デメリット…
-
基本的に「質問教室」になりがちで、子どもに合ったアドバイスはほとんど受けられない。
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解いているところの過程を担当の講師がほとんど見られない。
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先生の説明を受けられる時間は、理論上「授業時間を生徒の人数で割った時間」
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自分のための説明を受けられる時間は、実際は積極的に質問できるかどうか、自分で学習が進められるかどうかで変わる(おとなしく勉強が自分で進められるタイプは損しやすい)。
-
講師側に求められる「授業の準備」の負担が大きく、「成績を上げる授業」をしている人はほとんどいない。
成績を上げるどころか、下がってしまうこともあります。
●1対1はこんな授業(入試演習の解説と直しの場合)
5分 通っている塾のテキストで、国社で質問があった箇所の解説・解決策の提案
15分 事前に解いてきてもらった入試演習(社会)の解説と直し
40分 直しの際に発問して、生徒自身が見つけた「記述の要素」を元に答案作成と採点
43分 今回の演習を通して見つけた「改善点」などをノートに記載
48分 明らかに「知識の穴」となっている内容をノートにて再導入
55分 事前に解いてきてもらった入試演習(国語)の解説と直し
75分 直しの際に発問して、生徒自身が見つけた「記述の要素」を元に答案作成と採点
85分 今回の演習を通して見つけた「改善点」などをノートに記載
90分 次回の授業についての連絡
今回は私の授業を週に1回、90分で受講している生徒の例を挙げてみました。
「演習している様子」が見られるので、解いているときの時間のチェックをしつつ、「視線の先」「手の動かし方」をチェックできるのが大きいです。
生徒の「視線」から得られる情報は大きく、「読解中に何をしているのか」「どのあたりを見て答えを出したのか」「集中している具合はどうか」「余裕を持って取り組めているか」などを増田は判断しています。
オンライン授業だと「視線のチェック」が非常に難しく、対面授業のクオリティを超えることは絶対にない、と増田は考えています。
「オンライン授業が対面と全く同じクオリティ」というのは、「このテキストはこう教える、などというレベルの次元」でしか授業を構築していないから言えることなのでしょう。
関連記事:結論、中学受験でオンライン個別指導は対面に敵わない?
実際、増田から生徒へ何かを注意する場面があっても、「画面の前のおっさんが何か喋ってる」くらいにしか生徒には思われていないのだろうと私は考えています(苦笑)
●1対1のメリット・デメリット
メリット…
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生徒の理解度、知識の量、解法のクセ、目標とする志望校からの逆算、などをふまえて授業が出来る。
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演習中に見せる「クセ」などを把握しやすい。
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その子にとって「無駄な時間」がほとんどない。
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授業中は「その生徒のことだけ」に時間を割くことができる。
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その生徒専用の授業用ノートが作成可能のため、それを使ってどこでも復習できる。
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「メンタル」を整えられる場面も多い。
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講師側の授業の負担も「無理のないもの」が多い。
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授業を保護者の方も受講可能なため、授業内容の完全共有が可能(これは塾によりけりですが)。
デメリット…
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とにかく費用が高い。
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講師の相性や腕の差が露骨に出る。
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確認テストなどを授業内で実施することはほとんどない。
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一緒にその授業を受けるライバルの存在がないため、一緒に頑張る仲間や競争心が生まれにくい。
●結論
子どものために講師が時間を使うという「費用対効果」を考えると、個別指導・家庭教師は1対1でないと効果が低いと増田は考えています。
そもそも、個別指導で求めているのは「その子に合った指導」「現状を変える一手」のはずです。
そういったことを求めているようであれば、「1対2」以上を週に1回続けるよりも、「1対1」を月に1度受講する方が、はっきり言って効果があります。
(まともな講師が担当しているならば、という枕詞がついてしまう点についてはご了承ください)
現状を変えたいときには、まずは体験授業や、1回のみのスポット授業を検討するのが良いと思います。
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