現在の首都圏の中学受験界を牽引するSAPIX小学部。
首都圏の全43校舎で教材は共通していても、やはり規模によって校舎の雰囲気や合格実績の違いは出てくるものです。
今回は前回の「どう選ぶ? SAPIX大規模校と小規模校 大規模校編~」に続いて、小規模校におけるメリット・デメリットを考えてみましょう。
まずは2018年春のSAPIXの卒業生数の少ない校舎を確認してみましょう。
㉞ 町田校 (72名)
㉟ 若葉台校 (66名)
㊱ 下高井戸校 (62名)
㊲ 上大岡校 (62名)
㊳ 茗荷谷校舎 (61名)
㊴ 宮前平校 (57名)
㊵ 豊洲校 (57名)
㊶ 茅ヶ崎校 (50名)
㊷ 所沢校 (41名)
㊸ 新越谷校 (29名)
となりました。
㊶㊷㊸などの校舎は都心からやや距離があり、中学受験生の割合もやや低いことが原因として考えられます。
㊲㊴は近隣に横浜校・たまプラーザ校など、その地域の拠点校が位置するため、やや人数が少ないと言えるでしょう。
その他の校舎も、近隣校舎が多かったり、SAPIXの中での歴史が浅かったり、移転のため募集を停止していたりなどの理由があり、特定の校舎が不人気ということは一切ありません。
また実績は小規模校ゆえに年度によって差が出やすいものの、SAPIXのクオリティを保ちつつ、各校舎に強みがあることも見逃せません。
例えば下高井戸校の駒場東邦9名、上大岡校の栄光8名、茅ヶ崎校のフェリス女学院7名などは大規模校に勝るとも劣らない実績です。
さてここからは小規模校のメリットです。
一番のメリットは「一貫した指導を受けられる」ということでしょう。
αが1つで、全6コース程度の小規模校では、自身の成績が上下によほどブレない限り、ブロックをまたいだコース昇降はありません。
そのため同じ講師に一貫して教わることができ、授業の構成や家庭学習の進め方などペースを保って学習することが可能です。
また保護者が生徒の学習状況を講師に相談した際も、適切な返答が得られることが多いです。
このように1人1人を手厚く見てもらえる学習環境は、小規模校の大きな魅力と言えるでしょう。
「自分のペースで勉強しやすい」ということもメリットです。
大規模校だと、コース昇降ごとに曜日ごとの授業科目が異なり、そのたびにスケジュールの見直しが必要です。
その点、小規模校では年間を通して学習計画が立てやすく、落ち着いて勉強が進められます。
コースの上下をめぐる過度な競争にさらされにくいのも安心できる要素ですね。
ただ、やはり「競争が少ない」というデメリットも大きいです。
SAPIXはシビアに試験の点数だけでコースを決め、生徒間の競争を煽ることで実力を高めていく塾。
その点、小規模校は少々のミスでもコースが変わらないことが多く、気持ちの面で緩んでしまう生徒も出てきます。
また「志望校別特訓が、本当の意味で志望校別になりにくい」というデメリットもあります。
小規模校は生徒数が少ないため、傾向の異なる中学校を志望する生徒を同じコースにまとめる場面が生じます。
「今週は開成プリント、来週は麻布プリント、もちろん志望校に応じたプリントは全て渡すけれども自宅で学習して」という事態も多いです。
また、そもそも志望校別特訓が開催されず、SS特訓のみ近隣の大規模校舎に通塾することも。
この点は、やはり小規模校ゆえの弱みになります。
このように見ていくと「周りに左右されず、自身のペースで勉強したい!」という生徒が小規模校に向いていると言えそうです。
小学生にとって30分を超える通塾負担は小さいものではありません。
もし最寄りの校舎が小規模校だったとしてもカリキュラムは同じです、迷わず通えば良いでしょう。
問題の6年生後半の志望校別特訓ですが、いつもの教室でいつもの先生の授業を受けることで安心して授業を受けられるならば小規模校で問題ありません。
SS特訓のみ刺激と競争を求めて大規模校に通うことも有効です。
今までも、5年生までは小規模校で、6年生からは競争を意識できる大規模校へ移籍、という生徒も多かったですね。
また志望校対策に個別指導塾を活用すると言う選択肢も考えておきましょう。
以下のコラムではSAPIXのような集団塾、個別指導、家庭教師それぞれのメリット、デメリットは何なのか。そもそもそれらの中からどう選べばよいのかを分析しています。是非ご覧ください。
⇒集団塾か、個別指導塾か、それとも家庭教師か?
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