昨日に引き続き、SAPIXのテキストの「捌き方」についてです。
今回は小学5年です。
●授業用テキスト
・デイリーサピックス Aテキスト Bテキスト
Aテキストは「知の冒険」の回、「読解メソッド」「読解演習」の回は変わりません。
「知の冒険」の回については、ちょうど11回目のテキストで8~9つの品詞を扱うなど、小4までと違って内容が中学受験で実際に出題される形に近くなっています。
「読解メソッド」「読解演習」の回については、論説文が入ってきて文章の内容が難しくなっていたり、扱う文章の語彙レベルが上がっていたり、主題が読みにくくなっていたりしています。
また、以前は販売教材として扱っていた「コトノハ」テキストが、1回分ずつ収録されるようになります。
こちらは「語彙力」を養成するテキストですね。
漢字まみれの難解な語彙だけでなく、擬態語なども、ひらがなの文字数指定つきで出されたりしています。
Bテキストは「確認しよう」「練習問題」の区切りがなくなり、短文の記述問題を中心とした、選択肢、抜き出しを幅広く含んだ問題形式に変わります。
区切りがなくなることから、このあたりの時期から「どの問題を優先的に解けば良いのか」というお悩み相談がさらに増えます。
私の授業で多く扱っているのが
Aテキスト「次回のデイリーチェック出題範囲」
Bテキスト【文章全体をとらえる問題】です。
「次回のデイリーチェック出題範囲」を扱うのは前回の記事を見てください。
【文章全体をとらえる問題】というのは、
場面分けの問題、意味段落分けの問題を始めとして、主人公の気持ちの変化をとらえる問題、主題にかかわる問題、この時に「」が使われている理由の問題、象徴や暗示などの「ここがわからないと全体で何が書いてあるのか」わかりにくい問題のことです。
「読みとる」上で助けになる問題は積極的に扱います。
「マクロ」の視点を持つための問題、と言い換えても良いと思います。
反対に、扱う度合いが薄くなる【典型的な問題】もあります。
それは、登場人物の気持ちやきっかけをとらえる問題、傍線部の言い換えをする問題などのことです。
傍線部の周辺、細部に注目したら解ける問題というのが多いです。
「ミクロ」の視点を持つための問題ですね。
指導の経験を通して感じるのは、「ミクロ」の視点は後からどうにでもなる、ということです。
それよりも、前後の内容から判断して何が空欄に入るのか、段落の中の抽象度の高い内容は何なのかなど、
「読む上でのツール」を身に着けていれば、どんな学校でもある程度対応することが可能です。
※読解においての意見(少々脱線します)
「読めていれば解ける」し、「読めなければ解けない」と私は考えています。
「この学校はわが子に向いている・向いていない」などを論じて、「向いている学校を受けるようにしましょう!」というご意見をお持ちの方も一定数いらっしゃいますが、
基礎的なことをしっかり積み上げれば、どんな学校でも基本的に対応策はあります。
「国語の問題が合わないから志望校を変える」って切ないですしね。
志望校への適性をつけるのが国語科の仕事だと思ってます。
●自宅学習用のテキスト
・Aテキストの「漢字練習」「読解演習」「知の冒険」「コトノハ」
・Bテキストの「読解教室」
・言葉ナビ
このあたりでしょうか。
大前提として、毎週授業内で行われる「デイリーチェック」で点数をきちんと作れるように、Aテキストの「漢字練習」「次回のデイリーチェック出題範囲」、言葉ナビの該当範囲は必ず勉強するべきです。
授業内の確認テスト(デイリーチェック)という小さな目標かもしれませんが「点数が出る」課題は大事にするべきだと思います。
なぜなら、受験生の子供たちが最も集中するのは「テストを解いているとき」だからです。
将来に向けて、という崇高な目標よりも、「100点取れた!すごいでしょ!」という状態をいかに作れるかって、結構大切だと私は感じています。
Aテキストの「読解演習」は余力があれば。
Aテキストの「コトノハ」、Bテキストの「読解教室」は必ずやった方がいいと思います。
なぜなら、「文章問題の全体の展開を追いかける課題」は、どの問題集にも掲載されていないからです。
私が集団授業を行っていた時は、全体の要約を「抜き出し」で行える課題や、場面分けの問題を補充問題として自作していました。
「解ける」ことは大切です。
しかし、年を追うごとに難化する傾向にあるからこそ、「文章問題をどう読みやすくするのか」の方がずっと大切です。
以上、小5の「捌き方」でした。
小6も載せるつもりでしたが、分量が思ったよりも多くなってしまったので、
また次回お会いしましょう…
SAPIXに関して、より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください!
塾選びから合格(または転塾)までSAPIX完全解説