12月、寒いですね。この時期になるといよいよ受験が近づいてきたなあと感じます。
皆さんはサンタさんに何をお願いするか決めましたか?私は乾燥機付き洗濯機が欲しいです。いい子にしていたと思うので、サンタさんが来てくれることを祈っております。
さて、学校などでインフルエンザやマイコプラズマ、胃腸炎などが流行しているそうなので、体調にはくれぐれもお気を付けください。いよいよ受験が近づいてきた時期なので、講師としては体調を崩さずに2月を迎えたいものです。
【テストの概要】
〈制限時間:50分〉
〈満点:150点〉
〈直近3年の平均点〉
2021年:84.9点
2022年:74.8点
2023年:72.3点
〈試験日:12月10日(火)または12月11日(木)〉
〈試験範囲〉
410-27:円とおうぎ形① ※〈41A-28 円とおうぎ形①の復習〉が範囲に含まれるため掲載
410-28:円とおうぎ形②
410-29:総合(25~28)
410-30:深さの変化
410-31:グラフの読み取り方
基礎力トレーニング11月号
【各テキストのポイントとテスト対策】
〈はじめに〉
各テキストの頭脳トレーニングは特に触れなくても問題ありません。単元の内容をしっかりこなしていきましょう。分からなかった問題はテキストの解説及び授業で板書した解説をしっかりと読み、解き直しを必ずしましょう。
また、計算力コンテストは欠かさず訓練してください。偏差値50を目指す人は(1)~(30)まで、それ以上を目指す人は(50)まですべて解きましょう。
そして、計算ミスの直し方について詳しく載せているので、こちらをご参照ください。
〈410-27 円とおうぎ形①〉
円の基礎は今後平面図形の問題を解く上で必須の知識なので、必ず定着させましょう。前回の記事はこちらをご覧ください。
偏差値50以上を目指す場合は★3まですべて解けるようにしましょう。
〔41A-28〕
p.9
大問1
(3)
全て半径が10cmのおうぎ形でピッタリくっついているので、1辺の長さが20cmの正三角形と分かります。よって、それぞれのおうぎ形の中心角が60°と分かるので、10×10×3.14×60/360×3としても良いですが...
次の問題を考えてみましょう。
「それぞれのおうぎ形の中心角が分からない!」となると思います。でも、それぞれの中心角は求める必要はありません。中心角をそれぞれ▢、〇、△として式を立ててみましょう。
このように中心角の合計が分かれば求められますね。
p.11
大問2
それぞれの半円の弧の合計として考えましょう。
ただ、お気づきの方もいると思いますがこれは結局直径10cmの円の周りの長さに等しいです。例えば以下のような形でも結局円1つ分の長さになるので、知っておきましょう。
p.13
今後の平面図形を解く上での土台となる意識を養える問題です。円・おうぎ形が登場する平面図形の問題で重要なのは中心・半径です。なぜなら、「ある点から等しい距離にある点の集合」という円の定義の通り、中心から円周・弧の上に引いた直線は半径になり、長さは同じなので、二等辺三角形や正三角形が作れる可能性が高いからです。
〈410-28 円とおうぎ形②〉
「410-27 円とおうぎ形①」に続いて非常に重要な単元です。平面図形の問題を解くうえで必須になってくるので、簡単な円とおうぎ形の面積の求め方までは最低限必ずできるようにしましょう。
円の面積は「半径×半径×3.14」です。習い始めは円周の求め方と混同することが多発するので、見飽きるくらい繰り返し問題演習を重ねましょう。「円周、面積のどちらを問われているのか」を必ず意識して解いてください。
「41B-27 p.18~21、p.24~26」と、「41B-28 p.18~26」を何周かするのをオススメします。
ちなみに、3.14の計算について注意点があるので、前回の記事(こちら)もご参照ください。
また、SAPIXから出版されている「ベイシック算数 基本60題④【平面図形1】」の第4章が今回の試験範囲に有効なので、ぜひご活用ください。
偏差値50以上を目指す場合は★2まですべて解けるようにしましょう。
〔41B-28〕
p.11
おうぎ形は円の一部なので、本来の円の何倍かを考えれば求まります。孤の長さの考え方と本質は全く同じなので、新しいものとして認識する必要はありません。
求め方は分かっても、計算式が遠回りになってしまう人が多いので注意しましょう。
「まず円の面積として考えて先に計算をしてから、そこに中心角/360°をかけて…」としてしまうと、非常に遠回りですしミスもしやすくなります。約分の可能性を考えて式は必ず一気に書きましょう。
p.13
大問1
(1)
正方形の内部に向かい合うおうぎ形を作り、重なった部分の面積を考える方法です。まずはこのように斜線部分を半分にして、その面積を考えます。
図のようにおうぎ形から直角二等辺三角形を引いたものとして考えられますね。それを2倍すれば面積が求まります。
また、別の考え方としておうぎ形の面積2つ分から正方形の面積を引く考え方もあるので、以下の画像をご参照ください。
また、レンズや葉っぱ、いもなど様々な呼ばれ方をされている(私はレンズと呼んでいます)この図形の面積ですが、実は公式があります。円周率が3.14の場合、「正方形の面積×0.57」で求められます。
証明を覚える必要はありませんが、一応載せておきます。
最後に「3.14÷2-1=0.57」とあるように、3.14を2で割って1を引くので0.57が出てきます。これだけ覚えておけば、仮に試験中に「0.56だっけ、0.57だっけ?」みたいになっても、「3.14を2で割るって聞いたな」と記憶にあれば0.57が出てくるはずです。
これを利用すれば今回の問題の答えは簡単に求められます。
レンズの部分が元の正方形の0.57倍ということは、正方形の面積を1とすると、レンズの外側の面積は1-0.57=0.43となります。よって、こちらも直接計算で求めることができます。0.57だけ覚えればいいので、0.43という数字をわざわざ覚える必要はありません。
ちなみに、稀に円周率を22/7や3とする問題も出てきます。その場合は0.57が使えないので初めに記した方法で解くのが無難ですが、一応「3.14÷2-1」の3.14の部分を変えればいいので、「22/7÷2-1」や「3÷2-1」とすれば求めることはできます。
(2)
早速0.43を利用してみましょう。正方形を4分割すれば求まりますね。
〔41A-28〕
p.9
(1)(3)
3.14の計算では分配法則を強く意識しましょう。「絶対に最後まで3.14の計算はとっておく」と胸に刻んでください。
(2)
工夫をして面積を求める方法です。「移動させるとすっぽりハマる」という感覚を身につける練習になるこの問題ですが、一つ注意点があります。それは「ハマりそうだから移動させた」に陥ってしまうことです。本来、ハマるかどうかは移動させる前と移動先の図形が合同かどうかで決まります。
合同についてはまだ習っていないので今は感覚頼りになってしまいますが、今後移動できるかどうかをより正確に判断する必要性が出てくることは頭の片隅に入れておいてください。
p.11
大問1
(3)
図形式を描く意識をつけましょう。画像のように図形を用いて四則演算のようなことをします。これにより、結果的に消える部分や合わせると綺麗になる形が見えるようになるので、平面図形を解くうえで今後重要になってきます。
ちなみに、ヒポクラテスの月は結局、斜線部分の面積は直角三角形の面積と等しくなります。知っているのといないのとでは解く時間で大きく差がつきますね。
p.13
(2)
正方形の面積の求め方で「対角線×対角線÷2」を忘れる人が多いので気を付けましょう。
今回は半径を知りたいので、半径を▢とすれば求まります。
では、次の問題はどうでしょうか。
計算してみても半径の長さは求まりません。ではどうすれば良いのでしょうか?
実は半径そのものの長さは必要ありません。半径×半径の値が分かれば解けますね。
〈410-29 総合(25~28)〉
前回のテスト範囲も含まれる総合回です。前回の記事(こちら)もぜひご参照ください。
前のテスト範囲だから忘れていいということはありません。受験は全範囲から出ます。日々の積み重ねを意識しましょう。
偏差値50以上を目指す場合は★2まですべて解けるようにしましょう。
〔41B-29〕
p.11
大問2
どこの長さを求めればいいのか、まずは自分で太く塗ってみましょう。あとは画像のように分けて考えた後、分配法則を忘れないよう気を付けましょう。
p.13
41B-24のp.13、41A-27のp.13と同じような問題です。平均を見たら合計を考えてみるという意識を付けましょう。
〔41A-30〕
p.11
(2)
切ってはめ込む方法を使います。前述の通り、「移動先の図形が本当に合同かどうか」は考えましょう。はめ込めればとても簡単になりますね。
p.13
規則性を見つける問題です。解答のように書き出していけば規則性は見つかります。では、なぜ16個ずつ規則的に増えているのでしょうか?「なぜそうなるのか」を考えるのは非常に重要なので、今後の勉強でも意識していきましょう。
〈410-30 深さの変化〉
水の体積を考える問題です。「体積ってなんだっけ」となっている人は「N41-10 立体図形②」でしっかり復習してください。過去の記事(こちら)もご活用ください。
偏差値50以上を目指す場合は★2まで、偏差値60以上を目指す場合は★3まですべて解けるようにしましょう。
〔41B-30〕
p.7
大問1
(2)
大問2
(2)
元の水の量と合計して深さを求めることももちろんできますが、「増えた分」だけに注目すればより簡単に求めることができます。
p.9
大問1
(2)
大問2
増えた体積は沈んでいる物体の体積と等しくなります。深さについてはこちらもp.7と同様、増えた分だけに注目しましょう。
p.11
苦手とする人が多い問題ですが、一工夫できれば難しく考える必要はなくなります。水の深さの問題では正面から見た図を必ず描きましょう。また、その際に重りは端に寄せて考えるとより分かりやすくなります。
大問1
大問2
元々入っていた水と、重りを入れたあとの空間に入っている水の量は同じですが、画像のようにもっと計算を楽にする方法があります。この考え方は今非常に重要になるので、意識しましょう。
p.13
「深さが同じになるってどういうこと?」となるかもしれませんが、要は二つの水槽を合体させて一つの水槽にして考えられるということです。
〔41A-31〕
p.11
大問2
それぞれ正面から見た図を正確に描きましょう。
p.13
大問1
増えた分は沈めた分に等しかったので、残りの容積と立方体の体積を比較すれば解けます。
このように、この単元では目に見えている水の量という実際に存在しているものだけでなく、「残りがどれくらいか」という目に見えないものにも視点を向ける練習になる単元です。大人になっても必要になる力なので、しっかり身につけましょう。
大問2
水があふれたとありますが、要するに入れた立方体の体積の合計と、水槽の残りの容積と溢れた分の水の体積が同じということです。図で表すと状況が見えやすくなると思います。
〈410-31 グラフの読み取り方〉
途中で条件が変わったりすると途端に解き方が分からなくなってしまう人が多い単元です。今後、速さとグラフの問題でも同じように考えますが、これができるかできないかで大きく差がつきます。
グラフを見た瞬間に何を表しているのかが分かるようになるまで繰り返し解きましょう。
偏差値50以上を目指す場合は★2まで、偏差値60以上を目指す場合は★3まですべて解けるようにしましょう。
〔41B-31〕
p.5
大問2
グラフが右肩下がりになっていることに注意しましょう。時間が進むと水の量が減っていることが分かるので、1分で減る水の量が求まります。
p.7
大問1
グラフが変化せずに横ばいになっているというのがどういう状況なのかを考えます。時間が進んでも水の量が増えないということは、ポンプが故障しているということですね。このような変換ができるかが重要になってきます。
(3)
故障していたのが6分間なので、故障していなければ20-6=14より、14分でいっぱいになると分かります。
p.9
(3)
途中からグラフの傾きが変化していますが、これが何を表すのか考えましょう。今回は0~10分の間はAで水を入れていて、25~35分の間はBで水を入れていると分かります。
Aによって1分間に上がる水面の高さは0分を基準にすればすぐ求まりますが、Bを考えるときは気を付けましょう。
「60と35と書いてあるから60÷35」とする人がいますが、そもそも0~25分の間ではBを使っていないので、違うと分かります。
Bは25~35分の10分間で水面の高さは60-40=20より20cm上昇しています。よって20÷10=2より、Bによって1分間に上がる水面の高さは2cmと分かります。
(4)
Aを使うと1分で4cm上昇するので、60÷4=15より、15分です。
p.11
ここでも正面から見た図が重要になってきます。1分間に上昇する水の深さを問われているので、1分で入れる水の量を考え、そのときの深さを求めればいいですね。
描いてみたら分かることではありますが、同じ量の水を入れたとき、底面積が大きいほうが深さは浅くなります。
グラフが折れ曲がる箇所がありますが、今回ではそれは底面積が変化したことを表します。
また、方眼つきの紙にグラフを描くときは「右に〇進むと上(下)に▢進む」を意識して点を打っていくと綺麗に描けます。
p.13
(1)
前述の通り、グラフの折れている部分は底面積が変化したタイミングです。
(2)
水槽の形に惑わされないようにしましょう。毎分2Lで22分間水を入れたので、入れた水の合計は2×22=44より、44と分かります。
(3)
横から見た図を考えると分かりやすいと思います。
斜線部分がグラフ上ではどこに当たるのかが分かれば求まります。図より、16分で16cm上昇していることから、上部分の深さは16cmと分かります。
【まとめ】
今回の範囲は図形要素が非常に多くなっています。図を描いてみることが解く上でカギの一つになるので、しっかり意識しましょう。また、図形は「何となく」で数を決めつけて正解してしまうことも多いので、間違った成功体験に気を付けましょう。「なぜその数や式になったのか」を説明できるようにしましょう。
また、寒さも厳しくなってきたので体調にはくれぐれもお気を付けください。よいお年をお迎えください。