一種の正念場といっても過言ではない小学6年生の夏期講習。
なぜ「夏次第」と言う言葉が出てくるのか。
「夏休み」、ひいては「夏期講習」がなぜ頼みの綱の時期と言えるのか。
SAPIXの6年生に注目して、解説していきたいと思います。
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SAPIX6年生の夏期講習に関する心構え
「誰もが勉強に本腰を入れる時期である」ということ
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SAPIXでは偏差値56以上
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四谷大塚では四谷Sコース以上
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早稲アカでは四谷Cコース以上
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日能研では偏差値60少々より上
各大手塾の「一般クラスと名前の違う、最上位クラス」のおおまかな基準値です。校舎によって多少の変動などはあると思いますが、概ねこのくらいの数値です。
最上位クラスは「自分自身で勉強が進められる賢い子」ばかりが所属しているのではありません。「みんなが勉強に本腰を入れる前から、きちんとした勉強時間を積み重ねてきた」生徒さんである場合の方が圧倒的に多いです。
受験まであと約7か月。
小学6年生の夏休みは、どの成績帯の子でも「勉強に取り組む」ようになります。
一例を挙げれば自習室。
夏休みに入ると、どの学年も利用者数が増えます。
特に多いのは受験学年です。
様々な理由がありますが、「どんな形であれ、勉強をしている状態が標準」となります。
「基礎事項のインプットに集中できる最後の期間である」ということ
大手塾は基本的に、夏期講習中に全科目で「全単元」を扱います。
どの塾でも基本的にそのようにカリキュラムが組まれています。
それは、9月以降に始まる入試演習の前に、基礎事項がついていなければ、入試演習に太刀打ちできないからですね。
夏期講習中、毎回行われる確認テストで「満点を狙う勉強を積み重ねること」が1つの目安になるでしょう。
「基本的に毎日、夏期講習の授業はある」ということ
通常授業は1週間単位で勉強をどう回すのかがポイントになりますが、講習期間中は1日単位で勉強をどう回すのかがポイントになります。
例年通りであれば、6年生の夏期講習は100分授業が1日3科目分、18日間。(夏期志望校別特訓がそれとは別に5日間あります)
13:00~19:00が授業時間となります。
「前日の授業の復習」「確認テスト用の勉強」を軸に、3科目の勉強時間を上手く割り振らなければなりません。
「未消化の単元」が続いてしまったときに、遅れを取り戻すのは不可能に近いです。
「SAPIXが終わり、帰宅してからの時間」と「起きてから塾に行く前までの時間」に何とか勉強を回すスケジュールの構築が必要となります。
各科目のアドバイス
算数(全18回)
テキストについて、大部分は今までの復習となっていますが、「今までの内容がわかっている前提で、もう一段階上のレベルを狙う」テキストとなっていることもあり、「常識レベルにしておきたい、基礎問題」はまず出題されません。
また、夏期講習のある日は全て算数の授業があります。
毎回200点満点のデイリーチェックがあり、全てのテストが昇降対象であることが、生徒さんにとって厳しい要素であると言えるでしょう。
2日分(校舎によっては5日分)の確認テストの合計点 トップ2 ワースト2でクラス昇降があるため、緊張感ある環境が続きます。
その関係で、多くの校舎で「デイリーチェックに出る問題を重点的に扱っている」という実情があります。
サカセルを始めとした個別指導塾や家庭教師の指導が受けられるなら、「重要度が高いが、残念ながらデイリーチェックに出ないもの」を重点的に扱うのが有効だと言えそうですね。
各単元のトピックス
・8番テキスト 平面図形②
反射という単元が新出です。
作図力、計算力のどちらも問われます。
・12番テキスト 速さ②
比を用いた特殊算がメインです。
また、与えられた設問の条件から、適切な図への落とし込みも必要な、夏期講習で最も難度の高い回と言えます。
・15番テキスト 推理と論証
完全に「ゲームの回」であると言える、特徴的な回です。
ただし、当てずっぽうで解けるわけではなく、セオリーに沿って、正しいツールを使わなければ解けない問題がメインです。
・17番テキスト 場合の数②
一般的な順列・組み合わせ以外の「特殊形の問題のみ」扱う回と言ってもいいでしょう。
ほぼ全てが新出単元です。
復習がかなり苦しいものになります。
※8月終わりのマンスリーは、本来「範囲のないテスト」となっていますが、実は範囲があり、夏期講習で扱ったものが出ることが多いです。
国語(全18回)
5年生までは1回につき、1つの文章の問題のみ扱うのが基本となっていました。
6年生からは「土曜特訓」に近い形式で、「物語文」などの文章ジャンルを指定した「大問3つ分の演習問題」を解くことになります。
基本的に宿題として出るのは「授業の復習」「夏の漢字特訓」、場合によっては「音読」でしょうか。
比較的宿題内容は軽いです。
「時間をかけすぎずにいかに効率よく復習するか」がカギとなります。
「どう読むか」「どう解くか」を自分なりに確立して、9月から本格化する入試演習に入る前の準備をしっかり行うのが良いと思います。
社会(全9回)
総合演習が中心の授業になります。
地理4回、歴史4回、公民1回の総合演習です。
使用するテキストは大きく3つ。
サマーサピックス、夏期デイリートレーニング、夏期〇〇ステップとなります。
①サマーサピックス
夏期入試問題演習、基礎力確認問題、デイリーステップ、コアプラス確認テストの4つが収録されています。
夏期入試問題演習の解説が中心に進むことが多いようです。
基礎力確認問題、デイリーステップは自宅学習用。コアプラス確認テストはその名の通り確認テストで扱うものになります。
②夏期デイリートレーニング
100点満点の演習形式のテストです。
小問数は50問。
リード文や年表などを読んで答えさせる形式で、記述問題はありません。
③夏期地理ステップ、夏期歴史ステップ
100点満点の演習形式のテストです。
小問数は25問が多いです。
一問一答形式が中心です。
④データバンク
「みかんの収穫量」など、最新版のデータや資料などを扱うプリントです。
授業内で多少扱いがあります。
勉強の進め方
夏期講習では、基本的に「全単元」を扱います。
社会で大切なのは、「やるべきことをやり通せるかどうか」です。
まずは毎回出題される「デイリーステップ」、「基礎力確認問題」をきっちり毎回解いて、覚えきること。
次に「各種実施した確認テストの答えの確認と定着」を図ること。
その次に「夏期入試問題演習の復習」「データバンクの内容の復習」をすること。
この3段階で、自分が最後までやり通せるレベルを設定し、行動に移すことが重要だと思います。
理科(全9回)
全体を通して、以下の3つに分けることができます。
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①最重要単元の総まとめ
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②追加解法や考え方を扱うもの
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③初出もしくは久しぶりに扱う単元
①最重要単元
2番、7番テキスト 中和、気体
5番、9番テキスト 力学
6番テキスト 電流
3番、4番テキスト 月、星
各単元のトピックス
②追加解法や考え方を扱うもの
6番テキスト 電流
スイッチ回路をしっかり扱うのはここの回のみです。
中堅(高輪・世田学・攻玉社、大妻~吉祥女子あたりのイメージ)以上はマスターしたいところですね。
3番、4番テキスト 月、星
季節による高さの違いが登場します。
上位(学校別オープンが用意されている学校のレベル)向けですが、サピのテストには頻出です。
5番、9番テキスト 力学
「てこ」で、おもりを合成して解く、という解法が登場します。
男子校で多く出題される形式です。
2番、7番テキスト 中和、気体
中和点の探し方につるかめ算を使うものが登場します。
男子上位(学校別オープンが用意されている学校のレベル)と桜蔭と豊島岡向けです。
③初出もしくは久しぶりに扱う単元
1番テキスト 森林と食物連鎖
このテキストでしかじっくり扱われません。
森林の移り変わり、食物連鎖に加えて、光合成のグラフが重要となります。
8番テキスト 光
凸(とつ)レンズが登場します。
この単元はSAPIXが他塾より遅く扱う数少ない単元の1つとなっています。
成長を待って、「あえて」遅く扱うことにしていると思われる単元です。
最近の入試だと、出題されることが多いです。
勉強の進め方
今までの内容で「怪しい単元」があるようであれば、「最重要単元固め」を中心に扱ってください。
自分の実力、志望校に合わせて必要なポイントを追加するイメージで取り組むのが良さそうです。
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塾選びから合格(または転塾)までSAPIX完全解説
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