どんな学校でも、自身の掲げる教育方針に沿った優秀な生徒が欲しいもの。
中学受験界では時代のニーズに応じて、様々な学校が入試日程や科目、配点などを変更しています。
最近のトレンドとしては「女子校の共学化」 「入試日程の新設 (特に午後入試の導入)」 「web出願」が挙げられます。
いずれの変化も、受験生にとっては受験の可能性が広がるものばかり。
併願パターンとしては複雑になりますが、そのぶん自身のレベルに見合った中学校へ進学できる可能性は高まりますね。
2019年も様々な変更が発表されています。
代表例としては
晃華学園 :2月1日午後に算国2教科の入試日程を新設
世田谷学園 :2月1日午後に算数特選入試を新設
普連土学園 :2月1日午後に算数1科入試を新設
山脇学園 :2月1日午後に算・国から1科選択入試を新設
香蘭女学校 :2月2日午後に算国2教科の入試日程を新設
などが挙げられます。
まずは自律学習サカセルからもほど近い世田谷学園に注目です。
2010年までは算数120点、国語100点、理科65点、社会65点という傾斜配点を採用していたことからも分かるように、もともと算数を非常に重視していた学校です。
そんな世田谷学園が2019年度から2月1日午後に算数特選入試を新設。
特待20名という枠も注目され、従来の2月2日の入試では集めきれなかった1日トップ校の受験生の併願先として大きな人気を呼びそうです。
普連土学園の1日午後の算数1科入試にも注目です。
もともと2日午後の入試が女子上位層の人気を集めていましたが、1日午後の新設で女子上位層にとってはますますチャンスが広がったと言えそうです。
また出題内容にも大きな変化があるようです。
今までの普連土学園の算数と言えば、登場人物の会話から難問を読み解いていくような思考力寄りの出題が特徴でした。
一方、新設の算数1科入試では50分で驚きの50問、計算と一行題のみという知識と処理力が問われる入試と発表されています。
特に1日の午前に女子学院を志望する生徒にとって、相性の良い出題となりそうですね。
また香蘭女学校の2日午後入試の新設には驚きました。
もともと1日午前の入試のみで受験生の第1志望率が高く、辞退者が非常に少なかった香蘭女学校。
立教大学への推薦枠も大きく、ある意味でお買い得感のある女子校でした。
そんな香蘭女学校の午後入試実施の背景には、やはり入学者レベルの低下があるのかもしれません。
今後は上位校を志望する女子の併願校として有力な候補となってくることでしょう。
面接も廃止され、心理的にも非常に受験しやすい学校となりそうです。
このように見ていくと、午後入試の充実は確かに目立ちます。
その中でも特に算数1科目入試が増えていることは、近年の首都圏中学受験界の大きな特徴と言えるでしょう。
ほんの数年前までは、高輪中、攻玉社中(2019年からは国語の選抜入試が廃止されるそうです)など極めてわずかな学校しか実施していなかった算数1科目入試。
この数年で新たに鎌倉学園、大妻中野、品川女子学院などが導入し、今後もますます増えていく可能性はありそうです。
「中学受験の算数が出来る受験生は他科目も当然できる」
「算数が出来る受験生は入学後も伸びる」
と学校側が判断しているんでしょう。
首都圏では4科目バランスの良い学力が問われる傾向が続いていましたが、この算数1科目入試は昨今の首都圏の入試トレンドに一石を投じることになりそうです。
算数科の講師としても腕を問われる場面は増えそうですね。
精進します。