この記事を書いたのは...
松田 浩志
自律学習サカセルでは算数・国語、主要2科目を担当。
大手進学塾では、教務主任職として、校舎全体の運営を担当し、日曜日の志望校別コースの最上位クラスから自校舎の基本クラスまで、算数・国語の両科目で毎年幅広くクラスを担当してきた。
現在の趣味はファッション。
もともと古着が好きだったのですが、現在は「キレイめ」なファッションが好み。
個別指導・家庭教師の自律学習サカセル
サカセルコラム
洗足学園中の国語分析(2021年) Column
洗足学園中学の特徴や傾向分析、2018年の算数分析はこちら
◆各種データ
受験者平均点 59.6点
合格者平均点 66点
想定合格点 66点程度
◆出題形式
試験時間 50分 100点満点
◆大問2題構成
◆問題の種類
漢字・語彙 23%
選択肢問題 20%
書き抜き 4%
記述 45%
接続詞 8%
算数国語の点数の比率が大きく、国語は非常に重要な科目であり、大きく入試の結果を左右します。文章・問題共にレベルはそれほど高くはないですが、記述問題が5、6題出題されるため、しっかりと記述の対策をしていかないと時間に追われてしまい、不必要なミスを誘発することにもなります。記述をサラッと書ける準備が必要です。また、語彙の配点比率も高いため、日々の積み重ねが勝敗を分けます。
設問の聞かれている内容の把握、下線部の前後から解答根拠を素早く拾う力、具体と抽象の理解、以上3点が身に付いていれば大きな問題はありません。
今回使用する指標
○…合格には確実に取れてほしい問題
△…合格の勝負所・差がつく問題
×…落としても合否には大きく影響しない問題
解答例はこちら
具体例を出した理由の選択肢問題です。
① 解答根拠をおさえ、解答のイメージを作る
② 選択肢を切り、間違っている部分とよく分からない部分と正しい部分に分ける
③ 残った場合は比較していく
この手順を踏みましょう。
①
大前提として、具体例が書いてあるということは意見となる抽象的な内容が具体の前後に書かれています。
下線部①の前3行と10行後に意見となる抽象が書かれていますね。
下線部10行後
「科学にも〜正しいからだ。」
からアが正解だと分かりますね。
下線部②の理由を演繹的思考を用いて記述する記述問題です。
しっかりと条件を確認しましょう。
・イカ→足が10本 (条件)
・コウイカ→イカ
↓
・コウイカ→イカ→足が10本
つまり、コウイカ→足が10本 (結論)
これが演繹です。
この形で記述を書いていきます。
・科学→( )
・( )→推測
↓
・
つまり、科学→推測が重要
上記の空欄に入る内容を文章中から考えていきます。
まず科学については下線部②の直後から具体、7行後に抽象が書かれており、
「科学は、新しい情報を手に入れようとする行為」
とありますね。
そして、推測の話題は下線部⑤の直後から始まっており、ここに「推測を行えば知識は広がっていく」とあります。
以上から記述が書けますね。
・科学→新しい情報を手に入れようとする行為
・知識を広げる→推測
↓
・科学→新しい情報を手に入れようとする行為→推測と言える
以上より、科学→推測が重要
というわけですね。
※厳密にはこれは演繹ではなく、演繹的な思考になります。
正確な演繹で書くことは難しいので、このような形で書いております。
問3 ○
逆裏対偶の意味を本文の内容から考えましょう。
イカ→足が10本
逆 足が10本→イカ
裏 イカでない→足が10本でない
対偶 足が10本でない→イカでない
池に落ちる→服が濡れる
逆 服が濡れる→池に落ちる
裏 池に落ちない→服が濡れない
対偶 服が濡れない→池に落ちない
よって
Aがイ
Bがウ
Cがア
理由の記述です。
対比を用いて記述していきましょう。
対比の記述
① AとBの根拠となるものを探す
②「Aは〜であるが、一方でBは〜である。」のような形でまとめる。
①
A 下線部④の一文を読めば分かりますね。直後に
「結論は根拠の中に含まれている」
とあります。これは下線部③の2行前にも同じようなことが書いてあります。
さらにこれを裏付けるように、下線部②の3行後に
「二つの根拠〜導かれるからだ。」
とあります。
B 下線部⑤の一文を読めば分かります。直後に
「結論は根拠の中に含まれていない」
とあるのでここを使いましょう。
②
①をまとめてください。
まとめる時にAとBと置き換えて書くことに注意してください。
指示語の問題です。
直前の内容をまとめるだけなのでかなり簡単だったと思います。そういう仮説が指す内容は直前の「とても良い仮説」です。
とても良い仮説とは「たくさんの観察や実験の結果によって、何度も何度も支持されてきた仮説」と直前にありますにでここをまとめましょう。
空欄の前後を丁寧にチェックして解きましょう。
A 前と後ろが逆の関係なのでイ
B 直後に「〜なら」とあるのでウ
C 話題が変わるのでア
D 前が理由、後ろが結果なのでエ
トメハネハライに気をつけ、丁寧に書きましょう。
本文全体を根拠とする選択肢問題です。
消去法が分かりやすいですね。
アは「複数の推測」が誤り。複数の仮説ですね。
イは「主観的な価値」が誤り。客観的な価値です。
ウは「真理と呼んでいる」が誤り。
抜き出し問題です。
下線部②の「優越感」と似た表現を探します。
重要なのは兄に対して弟が感じているということです。
次に大きく範囲を決めていきます。
弟が兄に対して優っているように感じているシーンは当然、下線部②の前後になります。
そこを丁寧に探していきましょう。
すると下線部②の3行後に「ぞくぞくするような快感」とあり、これが答えになります。
説明の記述です。
① まずはしっかりと設問を読み、聞かれていることをはっきりさせ、何をするかの方針をはっきりさせます。
② 記述の要素となる内容を探します。
③ 見つけた要素を繋ぎ合わせていきましょう。
①
弟の失敗の理由を探します。
②
直接的な原因は直前の着地に失敗したことですが、根本的な原因はそこではなくもっと前になります。遡って探しましょう。
すると、下線部②の3行前から
「幼い僕はそういうこと(兄が自分に合わせてゆっくりと走っていたこと)が分からなかった」
「勝手にうぬぼれた」
「兄を超えた気になった」
とあります。
これらが原因ですね。
③
上記をまとめていきましょう。
語彙の問題です。
分からない場合は意味を推測しましょう。
心情の記述です。
背景→きっかけ→意味づけ→気持ち→行動反応
の5点が重要になります。
まず気持ちですが、下線部⑤の11行前に「畏怖や畏敬」17行めに「恐怖」とあります。
次にその気持ちが生まれたきっかけですが、「巨大な自然」に対してですね。
そして、下線部⑤の20行前に「ちっぽけで弱々しい存在」ともあります。これは意味づけに当たります。
以上をまとめていくと良いでしょう。
心情変化の記述です。
気持ち→きっかけ→気持ち
で書いていきましょう。
気持ち1:下線部①ではでは兄を競い合う対象として見ており、下線部①の直前にあるように「調子に乗っ」ているわけです。
きっかけ:しかし、山で怪我をし、助けてもらったという出来事が起きます。
気持ち2:上のことをきっかけとして兄への尊敬の気持ちが芽生えるわけです。これは下線部⑥の直後「むしろ〜行ってくれる。」からも分かりますね。
これらをまとめていきましょう。
一文を読み、当てはまる言葉を選びましょう。
人物像の選択肢問題です。
消去法が分かりやすいです。
アは「冷静な少年」が誤り。弟の様子を見て鬼神のような勢いで走り出している様子から、冷静に傷の様子を確認できていませんね。
ウは「不在の両親に代わって目標にする」が誤り。両親の代わりではないですね。
エは「助けるためであれば危険を冒すこともいとわない」が誤り。危険は冒してないですね。
根拠が本文全体に及ぶ問題です。
これも消去法が分かりやすいですね。
イは「暗示されている」が誤り。全く読み取れないですね。
ウは「自然の姿が大きくなる」が誤り。特にそんな表現はありません。
エは「普段とが大きく異なる兄の姿」が誤り。兄は元々優秀な少年であると書かれており、大きく異なってはいません。
大問1の逆裏対偶や演繹といった論理的な数学的思考に関する文章でした。問題に関しても出題されており、学校側からの「論理的な思考ができる生徒が欲しい」という強いメッセージを感じます。また、さまざまな条件が設問に入っており、しっかりと設問を読む必要があります。ここから「相手の話を聞ける生徒が欲しい」というメッセージも感じます。
大問2に関しては「僕」の主観的な物事の考え方から失敗や自然の雄大さを通じて自分という存在の小ささに気づくというエピソードを通して、「主観的な視点からの脱却と客観的に物事を考える重要性」というメッセージを感じます。
また、記述問題もバリエーションに富んでおり、しっかりと記述の基礎的な練習を積んできているお子様に有利になる設計になっています。
全体を通して、良い問題でした。
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自律学習サカセルでは算数・国語、主要2科目を担当。
大手進学塾では、教務主任職として、校舎全体の運営を担当し、日曜日の志望校別コースの最上位クラスから自校舎の基本クラスまで、算数・国語の両科目で毎年幅広くクラスを担当してきた。
現在の趣味はファッション。
もともと古着が好きだったのですが、現在は「キレイめ」なファッションが好み。