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合格最低点 113/200 点
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算数の想定合格点 40点
麻布中学校の学校の特徴や算数の傾向分析、2018年の算数の出題分析はこちら
麻布中学校の2020年の算数の出題分析はこちら
男子御三家の一角で、自由な校風でも知られる麻布中。
中学受験においても最難関校として知られます。
ただ今年度は2020年春の東大合格者数がやや少なかったことやコロナウイルスの影響もあってか、やや出願者数を減らしました。
とは言えチャレンジ層が減っただけで依然として高い実力を備えた受験生による熾烈な競争が繰り広げられています。
ちなみに2021年春の東大合格者数は、浪人生の健闘もあって東大合格者数を麻布らしい基準に戻してきたので、2022年の受験では隔年現象も相まって志願者の増加が見込まれます。
ここからは2021年の算数の問題を通して、どのように取り組めば合格を勝ち取ることが出来るのかを考えていきましょう。
今回使用する指標
〇:麻布中学合格のため必ず正解したい問題
△:出来る生徒と出来ない生徒の差がつく
×:完答できる生徒は少数、部分点を拾えたら充分
として小問ごとに見ていきます。
解答例はこちら
大問1
〇
平面図形の移動の典型題です。
片方を固定して、もう片方が秒速3cmで移動すると考えて、丁寧に作図しましょう。
直角二等辺三角形を意識して正確に数値を記入すれば確実に正解につながる、やや易しめの問題です。
大問2
(1) 〇
麻布中では頻出の速さと比の問題です。
(1)は、たかし君だけに注目すればよいので比較的易しいでしょう。
「距離の比」÷「速さの比」=「時間の比」を利用し、速さを変える前と後の時間の比が3:4だと求めましょう。
計算がやや煩雑ですが、確実に正解しておきたい問題です。
(2) △
(1)で求まった時間を利用し、順に考えます。
出てくる時間が(1)と同様に分数になりますが、正確に計算しましょう。
「速さの比」×「時間の比」=「距離の比」と考えれば、まこと君が速さを変えたのが何m地点なのか求まります。
決して難しくはないものの、比の扱いに習熟していないと間違えやすい問題でした。
大問3
(1) 〇
植木算として考えると良いでしょう。
横方向には20枚ならぶ⇒間は19箇所⇒それが10列
縦方向には10枚ならぶ⇒間は9箇所⇒それが20列
と考えれば難なく正解することが出来るでしょう。
(2) △
「ひし形の紙全ての面積の和」-「重なっている箇所」+「紙のない箇所」と言い換えましょう。
紙のない箇所は(1)と同様に植木算として縦9列、横19列と考えると良さそうです。
規則性の問題として解こうとすると注意すべき箇所が非常に多いので、解法の選択が鍵になりました。
大問4
(1) △
問題設定は斬新ですが、実質的には普通のつるかめ算です。
Aの小数点以下を7、Bの小数点以下を13と置いて、32枚の和の下2桁が78となる場合を考えましょう。
なお解答例ではつるかめ算と面積図で解きましたが、「もし全てAだったら」と表で整理して規則性を利用しても良いでしょう。
(2) ×
(1)と同じく、つるかめ算として考えます。
7と13が合わせて160枚あり、和の下2桁が36になる場合を考えます。
1つ見つかれば規則性を利用することが出来ますが、処理量が多いので試験時間内に出し切れなくても仕方ないかもしれません。
大問5
(1) 〇
麻布中の算数では頻出の題意に沿って作業し、ルールに気づかせる問題です。(1)は題意の確認です、確実に正解しましょう。
(2) △
点灯しているライトを小さい順に消していけば答えは求まります。
ただ本来は点灯⇔消灯回数が偶数回か奇数回かで分類して解くべき問題でしょう。
「1が変化するのは1を押す時だけ」「2が変化するのは1・2を押す時」・・・と整理すると論理的に考えることが出来ます。
なお偶数・奇数に注目することで、最終的にすべて消灯させるためにはライトを押す順番が関係ないことも分かります。
(3) ×
(2)と同じように、偶数・奇数に注目して処理すべき問題です。
ただ実際の試験会場では解答例のように「点灯している小さな数から消していく」と施行することで正解にたどり着くことの出来た受験生も一定数いたものと思われます。
大問6
(1) 〇
中学受験において散見される2つのサイコロの積の問題です。
解答例のように赤の1~6、緑の1~6を表で整理すれば容易に正解することが出来るでしょう。
(2) 〇
(1)で用いた表から、丁寧に調べましょう。
麻布中の最後の大問の(2)としては異例の易しさと言えるでしょう。
(3) △
(1)(2)を誘導として利用するのは麻布中の算数のお家芸ですが、この問題はあまり誘導の鮮やかさは見られません。
積が1⇒(AとBの積が1になるのは1通り)×(CとDの積が1になるのは1通り)
積が2⇒(AとBの積が2になるのは2通り)×(CとDの積が2になるのは2通り)
・・・
というように順に調べて足していきましょう。
面倒ではあるものの、特に発想力は問われません。
このように2021年度の出題は、1枚目に大問2つ、2枚目にも大問2つ、3枚目にも大問2つという構成になりました。
麻布中らしい「誘導を利用した気付き」の問題がほとんどなく、発想自体は易しめの出題でした。
ただ得点しやすいかと言うと例年よりも計算の煩雑さや作業量の多さが目立ったぶん、手応えほどの点数にならなかった受験生も多かったことでしょう。
特に大問2、大問3、大問4が顕著です。
合格最低点は113/200なので、結果として算数における合格ラインは例年通り40点/60点と考えられます。
合格ラインに乗せるためには6問/13問の〇の箇所を確実に正解し、あとは△の箇所で3問くらい正解できれば良いでしょう。
2021年度の麻布中の算数における合格の鍵は「迅速・丁寧・正確な作業力」と言うことが出来そうです。
ただ例年は誘導の利用の仕方がポイントになる問題も多いので、2022年以降に麻布中合格を目指す受験生の皆さんは、過去問演習を通して「麻布中らしい発想の仕方」にも習熟しておきましょう。
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