合格最低点 110/200 点
算数の想定合格点 40点
麻布中学校の学校の特徴や傾向分析、2018年の分析はこちら
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2020年春の東大合格者数は前年の100名からは減らしたものの、それでも63名。
統計を取り始めた当初から東大合格数ランキングで10位以内に入り続ける日本屈指の進学校で、政治や学術のみならず、多岐にわたる分野に多くのOBを輩出している麻布中・高。
中学受験でも2年連続で1000名以上の志願者を集める屈指の難関校です。
各科目、その出題は独特で、普通の中学受験の勉強に加えて、高度な麻布中対策を講じないと、合格は難しいことは周知の事実です。
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ここからは2020年の算数の問題を通して、どのように取り組めば合格を勝ち取ることが出来るのかを考えていきましょう。
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〇:合格のためには必ず正解したい
△:出来る生徒と出来ない生徒の差がつく
×:完答できる生徒は少数、部分点を拾えたら充分
として小問ごとに見ていきます。
解答例はこちら
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大問1
〇
「内項の積=外項の積」として計算しても良いですが、その場合は計算が煩雑になってしまいます。
解答例のように「差が一定の消去算」として処理したほうが、はやく正確に解けるでしょう。
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大問2
(1) 〇
平面図形の典型題です。
イウエオを1つの図形と考えて、半円から直角に等辺三角形を引くだけです。
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(2) △
もとのままの図では解くことが難しい、発想力の問われる問題です。
解答例のように線対称に補助線を引いて、対応する箇所を消していって残った部分を求めても良いですし、以下のように補助線を1本引いて、相似比で考えていっても良いでしょう。
試験中に考え込んでしまうようなら、後回しにしても良い問題です。
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大問3
(1) 〇
「2で割った余りを考える」⇒「偶数か奇数かで場合分け」というだけの問題です。
確実に正解しておきましょう。
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(2) △
まずは1から6を、2で割った余りと3で割った余りで分類しましょう。
ただ(1)と同じように式1本で処理することは出来ないので、まずは解答例のように樹形図で書き出してみることが有効です。
すると意外なほど状況を絞り込めることに気づきます。
「まずは題意に沿って、手を動かして調べてみよう」というメッセージ性の強い良問です。
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大問4
〇
食塩水の典型題です。
今回は面積図よりも、解答例のように天秤で条件を整理したほうが状況を捉えやすいでしょう。
「麻布中と言ったら思考力!」と偏った学習をすることなく、地道な努力が報われやすい問題でした。
上位校受験生ならば、確実に正解しておきたいところです。
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大問5
(1) △
麻布中の算数ではおなじみの「三角方眼」を利用した平面図形の問題です。
円の転がり移動の鉄則通り、動きの変わり目に注目して丁寧に作図を進めましょう。
今回は「ほしがた」の内側にも三角方眼を描き足すことで、より状況は捉えやすくなることでしょう。
なお1周すべて描くのではなく、対称性を利用して6分の1だけ丁寧に描くことができれば、時間の短縮にもつながることでしょう。
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(2) △
(1)と同様に、動きの変わり目に注目した丁寧な作図を心掛けましょう。
「ほしがた」の外側にも三角方眼を描き加えると取り組みやすくなることでしょう。
この大問は決して難しくはないですが、日ごろの取り組みの丁寧さで差がつくので、合否を分けた1問と言えるのかもしれませんね。
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大問6
(1) 〇
様々な解法が考えられるものの、答えを求めるだけなら非常に易しい問題です。
速さを設定しても良いですが、同時に戻って止まるまでに各点が進んだ距離と、合わせて何m進むごとに出会うかの距離の関係に気づけると、(2)以降につながります。
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(2) △
速さを設定しようとしても、与えれている条件からでは方針を立てにくい問題です。
あわせて15m進む時に初めて同時に地点Pに戻って止まると考えましょう。
結局15を和分解し「互いに素」になる2数の組み合わせを求めればよいと分かります。
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(3) 〇
具体的な比が求められているので、速さを設定して解いても、正答には辿り着くことが出来るでしょう。
ただ解答例のような方針で考えられると(1)(2)からの流れにも乗ることができ、また(4)にもつながります。
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(4) △
あわせて2m進むごとに出会うから、6回出会うということは合わせて進んだ距離が12mより長く14mまでの整数、すなわち13mか14mだと分かります。
あとは(2)と同様に「互いに素」になるように和分解が出来れば、正答にたどり着くことが出来るでしょう。
全部で9通りと与えられているので、麻布中の最後の問題としては、やや易しい出題となりました。
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2020年度の出題も、1枚目に大問3つ、2枚目に大問2つ、3枚目に大問1つという構成になりました。
「解法の選択が問われる大問1」
「発想力の問われる大問2」
「作業力の問われる大問3」
「中学受験の典型題の解法知識が問われる大問4」
「丁寧な作図力の問われる大問5」
「題意を把握・理解し、利用する論理性の問われる大問6」
と問題ごとのテーマが明確で、比較的バランスの良い出題になりました。
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合格ラインも例年の麻布の対策の通り40点/60と考えられます。
大問1で 8/8
大問2で 5/10
大問3で 5/10
大問4で 8/8
大問5で 5/10
大問6で 6/14
を取って、37/60、あとはどこかで1問正解できれば合格ラインに乗ってきます。
このように2020年の麻布中の出題は、麻布中志望者にとって対策が報われやすい出題だったということが出来るでしょう。
大問4を完答できる基礎力を養ったうえで、大問3や大問5のような作業力の問われる問題を取り切れるように学習を重ねていきましょう。
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なお例年は、後半の大問でもう少し難度が高い小問が配置されることが多いです。
一見関連のなさそうな(1)(2)をヒントに、(3)(4)を鮮やかに解くことが出来る問題こそ麻布中の算数の真骨頂です。
麻布中の合格を目指す受験生は、過去問を通して頭の使い方を確認しておきましょう。
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