サカセルコラム

青山学院中等部の算数分析(2025年) Column

過去問分析

青山学院中等部の算数分析(2025年)

2025.05.07

〈男子〉
受験者平均点 46.1点
合格者平均点 62.7点
〈女子〉
受験者平均点 46.5点
合格者平均点 65.5点

渋谷駅から徒歩12分、表参道駅から徒歩10分の場所に位置する青山学院中等部は、1947年に開校されたキリスト教メソジスト派のミッションスクールです。キリスト教信仰に基づく人格教育を重視し、毎朝礼拝を実施しています。
3年生からの選択授業では「暗号」を学ぶ講座や株式学習ゲーム、韓国語、中国語など多彩な分野を学べ、特に中国語は大学レベルの内容にも対応しています。
大学への内部進学率は85%と高く、高等部では大学の授業先行履修も可能です。
外部受験をする際、大学への内部推薦は辞退することになるので注意しましょう。

施設は綺麗で、温水プール、人工芝グラウンド、ハンドボールコートなどスポーツ施設も充実しています。ICT環境も整備されており、タブレット1人1台の支給とオンライン英会話により、国際感覚を養う教育も推進されています。

入試問題は基礎力重視で難問奇問は少なく、小学校課程に沿った出題が中心です。ただし、国語は文章量が非常に多く、詩も出題されるため対策は必須となります。
人気が高く毎年多くの志願者が受験しますが、特に女子の倍率が高く、女子の合格平均点の方が男子よりも高いため注意しましょう。

ここからは2025年の算数の入試問題を通して、どのように青山学院中等部の算数を解いていけばいいのか見ていきます。

今回使用する指標

A:青山学院中等部合格のために確実に正解したい問題
B:合否を分けた問題
C:正解できなくても合否には影響しない問題

解答例はこちら

大問1 A

標準的な計算問題です。掛け算・割り算やカッコなどの計算の順番に気を付けましょう。

大問2 A

こちらも標準的な計算問題です。0.25=1/4の変換をノータイムでできるようにしておきましょう。時間に余裕があれば▢に答えを代入して、合っているか確認しましょう。

大問3 A

割合と単位換算の基本が問われる問題です。この学校の特徴として、このような数字が大きく正確な計算力が求める出題が挙げられます。面積の単位換算は忘れている人も多いので、定義や理屈も合わせて必ず覚えておきましょう。

画像

大問4 B

過不足算の応用問題です。余りの74個を2個ずつ割り振ると、8個入りの袋は74÷2=37より37個できます。これが全体の1/3なので、全体の袋は37×3=111より、111枚です。
袋の枚数が分かったので、トマトの個数も分かりますね。

大問5 B

こちらも過不足算の利用です。6個入りのパックの方が4つ多いと分かっているので、10個入りのパックと個数をそろえて考えましょう。個数をそろえた後は6個入りと10個入りを1セットとして考え、全部で何セットあるか求めます。これによりお茶の合計金額が求まるので、本数も求まります。

大問6 A

比を使った消去算で処理する基本的な問題です。まずはAとBだけに着目し、そこからCも合わせて考えます。
見た瞬間に解法が思い浮かぶレベルを目指しましょう。

大問7 C

できる図形を考えるところから手間がかかる、対称の問題です。線対称でできる図形を実線、点対称でできる図形を点線で描くなど、書き方を工夫して見やすくするといいでしょう。
また、少しのズレで違う図形に見えてしまうこともあるので、普段の学習でも正確な図を描く意識を持ちましょう。
難易度そのものは高くないものの、単純に手間がかかるため飛ばしていい問題でしょう。

大問8 B

往復の旅人算の利用です。状況を正確に図に表す、1回目と2回目の出会いにかかる時間の関係など、速さの単元の練度が問われる問題です。
ここは合否を大きく分けた1問と言えるでしょう。

大問9 C

苦手な人が多い、複数回折り返しの問題です。平面図形で重要な要素として、同じ長さ・角度があげられますが、折り返し問題はこれらの宝庫です。分からない角度は〇で置き換えながら、同じ角度を書き加えていくと答えにたどり着きます。
もちろん時間はかかりますし、難易度も高く正答率も低いので潔く飛ばしてしまいましょう。

大問10 B

何か特別な計算が必要というわけではなく、条件を守りながら地道に樹形図を書いていく問題です。
あくまで「約分して同じになるもの」はカウントしないだけで、例えば3と2/6のような数はカウントする必要があることに注意しましょう。
難易度そのものは高くないものの、シンプルに時間がかかるものなので、一旦後回しにして時間が余っていたら解くという方針が良いでしょう。

大問11 C

E、D、Aの条件から候補を絞ります。今回、平均が159cmとあることから、当然平均が159になる組み合わせを考える必要がありますが、すべて足して考えるのは相当な手間がかかります。
なので、今回は「平均との差」に注目し、その合計が0になる組み合わせを考えるほうが良いでしょう。

大問12

(1)A

旅人算のグラフでは、一方が一定の速さで進んでいる場合、もう一方も一定の速さで進み始めた瞬間を基準にするのが重要です。
今回は8時15分を基準にするとよく分かります。バスが8時15分から8時21分までに進んだ距離と、太郎君が7時57分から8時21分までに進んだ距離は等しいので、かかった時間の逆比を考えれば太郎君の速さも求まります。

(2)B

バスが出発した8時30分を基準にしましょう。このときのバスと太郎君の距離から、出会う時刻が求まります。太郎君がA駅に着く時刻も計算できるので、答えも求まります。
また、「ダイヤグラムと相似」を用いて解く方法もあります。別解のように砂時計とピラミッドの相似を利用すればより簡単に解くことができます。
どちらの解法でも解けるよう日頃から練習しておきましょう。

大問12は大きく合否を分けた問題といえるでしょう。大問8と同様、速さは中学受験算数における最重要単元の一つです。合格のためには必ず完成度を高めておきましょう。

大問13

(1)B

相似比と面積比を利用した問題です。正三角形1つあたりの高さが2cmなので、2段目の正三角形を見ると、水の入っている部分と入っていない部分の面積比が1:3と分かります。よって、正三角形1つの面積を④とすれば、正六角形の面積と水の入っている部分の面積が求まります。

(2)C

まずは図の状態から比を使って水の量を求めます。三角柱の部分と六角柱の部分で分かれているので注意しましょう。
次に三角柱の容積を計算すると、水の量の方が多いと分かるので、三角柱を超えた分は六角形を底面として高さを求めなければいけないことに注意しましょう。

(1)は平面図形と比の習熟度が問われる問題で、大きく合否を分けた問題といえるでしょう。相似比と面積比の関係がなぜそうなるのか、理屈まで身につけて理解しましょう。

【総論】

今回は男子受験者平均点は46.1点、合格者平均点が62.7点、女子受験者平均点は46.5点、合格者平均点が65.5点と、例年並みの結果となりました。全体的に問題そのものの難易度は高くないですが、平均点が高くないのは取捨選択の能力が大きく問われる出題だからといえるでしょう。もちろん対策は必須となってきます。

青山学院中等部を第1志望に据えている人は、6年生の夏休みまでに全単元の基礎を満遍なく身につけておき、夏休みが終わるころまでには、割合や比、平面図形などの中学受験算数における重要単元で難易度が高めのものを解けるようにしておきましょう
そして夏休み明けから過去問に少しずつ取り掛かれるのが理想です。

青山学院中等部を目指していて何かお困りのことがあれば、ぜひ自律学習サカセルにご相談ください。

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T. S.

この記事を書いたのは...

T. S.

今まで別の個別指導塾で主任講師として、中学受験では4教科+適性検査型を担当してきた。自身で指揮を執り、全科目の指導、カリキュラムの作成、面談など、中学受験全般に関わることを行ってきた。授業が無い日もずっと校舎にいたため、周りからは地縛霊だとささやかれていた。

大会で何度か結果を残すくらいにはゲームが得意で、プロを本気で目指していた時期もあったが、コロナ禍と重なってしまい断念。ただ、今でも時々大会に出ているので、もしかしたらYouTubeのおすすめで私の顔が流れてくることがあるかも?

教え子の成長を見守るのが生きがいです。大人になった教え子たちと共に塾を開業するのが将来の夢です。

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