豊島岡の理科の問題構成は以下のようになっていることが多いです。
大問1 物理
大問2 化学
大問3 生物
大問4 地学
社会と合わせて50分。50点満点。
社会を20分以内で解いて理科に30分強かけるのが定石です。
今年度の豊島岡、例年と同じような出題傾向でしたが平均点はやや低めでした。
受験者平均24.04 合格者平均28.29
例年は大問1および大問2が計算も多く難しめ、大問3・4が知識メインで軽めのことが多いです。しかし今年は大問1・2が定番の計算問題で例年よりやや易しめ、大問3・4に難問や時間のかかる選択問題が散りばめられていました。前半の計算問題を素早く確実に解けたかが点差につながったのではないかと思います。
出題
大問1 電熱線
中学受験でとてもよく登場する電熱線の計算問題です。豊島岡志望の受験生なら見慣れた問題でしょう。条件をしっかり確認すれば難しいことはなく、あっさりと全問正解できるはずです。逆に、この手の計算問題を苦手としていて解けなかったり、時間をかけたりしてしまった場合はライバルに大きく後れを取ることになってしまったと思います。
大問2 金属の酸化・還元
(3)まではとても平易な問題でした。(4)もひとつひとつ読めば書いてあるような問題です。(5)だけ難しかったので、ここに時間をかけないことが重要だったかもしれません。
大問3 動物の群れと行動
群れの中の動物の行動は、当たり前に考えられる子もいますが、苦戦した受験生もいたことと思います。過去問では生物で稼いで得点していたけれども、今年の問題は解きにくかった、という子には痛い出題だったかもしれません。
大問4 奄美大島
(2)は単位換算の計算問題(3)は生物の進化の問題(4)は星でした。とても簡単なサービス問題も混じっていましたが、難問や時間のかかる選択問題もあり、全体的には例年より難しめだった印象です。
配点が50点のため、理科で稼ぐのは難しい学校ですが、豊島岡に向けて物理と化学の計算問題演習を積んでいた受験生は理科でプラスが出せたことと思います。
解説
大問1
リード文が長いですが、書いてあることは豊島岡志望生なら当たり前に知っている内容なので「はいはい、知ってる」と軽く流しながら読めばよいでしょう。
表1 電池の数が2倍・3倍…になると、温度上昇は4倍・9倍…
表2 長さの比と温度上昇は反比例
表3 面積と温度上昇は正比例
(1) 計 〇
電池1個 長さ10㎝ 断面0.2㎜ 6℃↑
ここで、断面は直径が示されています。この面積を①とします。
電池1個 長さ10㎝ 断面積① 6℃↑
2個 30㎝ ④
上昇温度 電池が2倍→4倍、長さが3倍→1/3倍。
直径が2倍なので断面積が4倍→4倍。
6×4×1/3×4=32(℃)
解答 32(℃)
注意ポイントは電池の数と温度上昇はただの比例ではないこと、断面積ではなく直径が示されているので面積比は平方して考えること です。ここを間違えると大問1を丸々落とす、という恐ろしいことが起こります。
(2) 計 △
金属線1と金属線2を直列につないでいるので、電熱線の長さを足します。
電池2個 長さ40㎝ 断面積① になるため
上昇温度は 電池2個→4倍、長さ4倍→1/4倍
水の中に入れたのは金属線2だけなので、その分の上昇温度は3/4倍になると考えられます。
6×4×1/4×3/4=4.5(℃)
解答 4.5(℃)
ここの注意ポイントは電熱線2だけを水の中に入れたところでしょうか。
(3) 考 計 〇
金属線3は断面積が4倍なので、上昇温度は4倍。
金属線4は金属線1の長さのみを変えているので、長さを1/4にすればよいです。
10×1/4=2.5(㎝)
解答 2.5(㎝)
(4) 考 計 △
金属線1と金属線3を直列につないでいます。断面積が異なるので、長さをそのまま足すことはできませんが、(3)がヒントになっています。金属線3は金属線4と置き換えることができます。
金属線1 長さ10㎝ 断面積①
金属線4 長さ2.5㎝ 断面積①
これを直列につなぐと 長さ12.5㎝ 断面積①の電熱線になります。これに電池2個をつなぐので
上昇温度は 電池2個→4倍、長さ5/4倍→4/5倍
6×4×4/5=19.2(℃)
解答 19.2(℃)
(5) 考 計 〇
並列につないでいるので、それぞれの上昇温度の和を求めればよいでしょう。
金属線5は長さ40㎝ 断面積① これを電池1個につなぐので
6×1/4=1.5(℃)
これと電熱線1による上昇温度を合わせて
6+1.5=7.5(℃)
解答 7.5(℃)
大問2
(1) 知 〇
ここは解説不要ですね。
解答 い、え
(2) 計 〇
サービス問題ですね。
銅 +酸素 →酸化銅
4 1 5
38.4g □g
38.4×5/4=48(g)
解答 48(g)
(3) 計 〇
ここも定番ですね。
消去算の解法を紹介しておきます。
マグネシウム+酸素→酸化マグネシウム
③ ② ⑤
銅 + 酸素 →酸化銅
4⃣ 1⃣ 5⃣
③+ 4⃣=38.4
⑤+ 5⃣=60
これを解くと、マグネシウム28.8g、銅9.6g
マグネシウムの割合は
28.8/38.4=3/4=0.75
解答 75(%)
(4) 考 〇
キーワードを照らし合わせていけばOKです。
- すき間→う
- ドライアイスは酸素が混ざっている→え
- 固体の酸素→酸素が固体 あ
- くぼみ→い
解答 ①う ②え ③あ ④い
(5) 考 ×
正しいのは⑤です。この「還元」という反応は最近の中学受験では定番になっています。
酸素が炭素よりもマグネシウムと結びつきやすいことによって起こっています。
演習問題の中にはよく入っているのですが、しっかり習う塾は珍しいかもしれません。豊島岡志望生なら何回か触れたことがあるでしょう。
反応1と反応3から次のように考えられます。
あ→他が否定できたからといって、⑤が正しいとは限らない。
い、う→反応後は酸化マグネシウムと炭素ができています。
酸化マグネシウムは白、炭素は黒なので→う が正しい。
お→4.8gのマグネシウムが反応すると8gの酸化マグネシウムになりますが、マグネシウムと結びついた酸素がどこからきたのかここからは分かりません。
か→正しい。
き→ドライアイスは4.4g反応しているので×。
解答 う、か
計算も必要なやや難しい選択問題で、完答のため、時間がかかりそうならとばしてもよいと思います。
大問3
(1) 知 〇
ムカデが肉食であることは知らない受験生もいたかと思い
解答 い、う
(2) 知 〇
群れをつくる動物。イワシの群れやニホンザルの群れは水族館や動物園で見たことがある受験生も多いでしょう。また、トラ・フクロウ・クマは単独行動です。
解答 あ、お
(3) 知 考 △
ひとつずつ確認します。
あ 群れになると、個々の個体が敵から襲われる確率は下がります。→〇
い 群れ全体は1匹でいるときよりも大きいため、敵に見つかりやすくなります。→×
う 群れの中で感染するので、群れでいた方が伝染病はひろがりやすくなります。→×
え 群れにはオスもメスもいるので、単独行動よりずっと出あいやすくなります。→〇
お 図1から群れの個体数が大きくなるほど争いに要する時間は増えていることが分かります→×
か 群れで狩りをすると、協力することが出来るので獲物をしとめるまでの時間は短くなると考えられます。→〇
解答 あ、え、か
(4 )考 △
肉食動物が増えると襲われる頻度が上がるため、警戒に要する時間Pが長くなります
このため、Pのグラフが上に移動します。
解答 あ
(5) 考 △
P+Q+エサを食べるのに要する時間=13時間
なので「エサを食べるのに要する時間」を最大にするためにはP+Qを小さくすればよいことになります。
これは図3からdと判断できるでしょう。
Pが1.7時間くらい、Qが2.3時間くらいなので
P+Q=1.7+2.3=4(時間)
13-4=9(時間)
解答 d 9(時間)
大問4
(1) 知 〇
これは社会で習っていますね。
解答 あ、う、え、き
(2) 計 △
嫌いな子が多い、単位の換算です。
1ha=100m×100mなので
=0.1km×0.1km=0.01㎢
42698ha=426.98㎢
426.98÷38.4万≒400÷400000=0.001=0.1%
解答 え
要領よく、ざっくりと計算できるとよいですね。
(3) 考 〇
アマミノクロウサギが固有種になった理由。
あ 200万年前に大陸から切り離された→200万年の間、他種と交わることなく島で独自の進化を遂げた→〇
い 海を渡れず、空も飛べない→海を渡ったり、飛んだりできれば他の種と交わることが出来るが、それが出来ない→〇
う 奄美大島には天敵がいない/ユーラシア大陸では天敵が登場→200万年前はアマミノクロウサギのなかまがユーラシア大陸にもいたが、その後天敵の出現により絶滅した→アマミノクロウサギは奄美大島だけに生息する固有種となった→〇
え アマミノクロウサギは環境にあわせて進化せず→そんな生物はいない→×
お 奄美大島にはエサが豊富→豊富だったから生息し続けられた→〇
か 人間が持ち込んだら繁殖した→外から人間が持ち込んだ時点で奄美大島以外にも生息していることになるので、奄美大島の固有種にならない→×
解答 え、か
2つと指定されていて、さらに固有種になった理由として「ありえない」ものが2つあるので難しくないでしょう。
(4) ①知 〇 ②計 〇 ③知 考 〇 ④考 計 × ⑤考 計 △
①冬の大三角…ここにきてサービス問題登場!
解答 あ、お
②オリオン座の3つ星は、春分・秋分の日の太陽と同じところを通ります。
南中高度=90-その土地の緯度 なので
90-28=62(度)
解答 62(度)
③これは解説不要でしょう。
解答 う、お
④ ②が誘導になっています。
アンタレスの南中高度はオリオン座の3つ星より
62-37=25(度) 低くなっています。
アンタレスが観測できない→アンタレスの南中高度が0度
オリオン座の3つ星はアンタレスより25度高いので
オリオン座の3つ星の南中高度は25度になります。
90-その土地の緯度=25
その土地の緯度は=90-25=65(度)
解答 65(度)
すぐに方針が立てば解いた方がよいですが、自分で図を描いて考えようとするとかなり難しくなります。時間がかかる可能性が高いので、飛ばしてもよいでしょう。
⑤すべて選ぶので、ひとつずつ確かめていきます。
あ 1か月前 30度戻る
2時間後 30度進む →〇
い 2か月半後 75度進む
5時間前 75度戻る →〇かと思いきや、4月の15時は空が明るいので目視で星を観測できません。×
う これも、12時の時点で×です。
え 7か月後 210度進む
2時間前 30度戻る →×
お 8か月半後 255度進む
7時間後 105度進む →360度進む→〇
か 2か月前 60度戻る
10時間後 150度進む →×
解答 あ、お
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