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芝中の算数分析(2024年 第1回) Column

過去問分析

芝中の算数分析(2024年 第1回)

2024.03.03

受験者平均点 51.9点
合格者平均点 65.9点

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芝中学校は1887年に僧侶養成のための浄土宗学東京支校として設置された歴史のある学校です。浄土宗学愛知支校として設置された東海中学校とは兄弟校であり、転校生の相互受け入れを行っているといわれています。社会の入試問題では浄土宗に関連する問題が出されることが多く、浄土宗の総本山や大本山について問われた年度もありました。自由な校風が特徴の男子校で、毎年人気を集めています。 第1回の受験者数は2021年度が445人、2022年度は482人、2023年は489人、2024年度は530人と、受験者数が毎年増えていることからもその人気度が分かります。

算数の出題形式は途中式を書かず、答えのみを書く形式になっています。その分、問題のボリュームが大きく問題数も多いので、時間配分が勝負のカギとなります。また、平面図形と比、速さのグラフがほぼ確実に出題されるという傾向もあるため、対策が非常に活きる学校だといえるでしょう。

ここからは2024年第1回の算数の入試問題を通して、どのように芝中学校の算数を解いていけばいいのか見ていきます。

今回使用する指標

A:芝中学校合格のために確実に正解したい問題
B:合否を分けた問題
C:正解できなくても合否には影響しない問題

解答例はこちら

大問1

(1) A

標準的な計算問題です。

小数点を上手にずらして分配法則の式を作りましょう。

(2) A

分数と小数が混ざった四則演算の逆算です。

□を含んだかたまりを△と置き換え、簡単な小数に直せる上に計算が楽になるものは小数も駆使して計算しましょう。

大問2

(1) A

比と割合の典型問題です。文章の条件をよく読んで情報を一つずつ整理しましょう。また、この際に消去算の式を作ることになりますが、数字が大きくなりすぎないように工夫できるかどうかで差がつきます。普段の勉強では、「答えが合っていればOK」ではなく、途中式で遠回りをしていないか、必ず確認しましょう。

(2) A

(1)を利用する問題です。落ち着いて計算しましょう。

(3) A

ベン図や表を使って整理する基本問題です。(1)と(2)を利用して整理しましょう。

大問3

(1) A

相似の典型問題です。縦向きと横向きの砂時計を見つけて連比で解きます。

(2) A

(1)を利用して底辺と面積の比の関係を考え、三角形AJKが三角形ABDの何倍かを求めます。

大問4 A

不定方程式を利用する典型問題です。組み合わせを一つ見つければ規則に従って解ける問題です。今回は全体が150個で3でも5でも割り切れるので、いったん全ての袋を3個入りまたは5個入りにして解くと楽になります。

大問5

(1) B

図形を区切っていく問題です。線の引き方によって区切られてできた部分の数が変わります。最も少なくなるのは弦同士が交わらないときです。

最も多くなるのはそれまでに引いた弦すべてがそれぞれと交わるときです。このときの弦の本数と分けられた部分の数の関係を表にすると、階差数列の関係になっていることが分かります。この関係が分からなくても5本であれば書き出しても解けます。もし時間に余裕があったら最悪書き出していきましょう。

(2) C

(1)で書いたように、階差数列の関係が見つかれば解ける問題です。思いつかなかったら潔く飛ばしましょう。

大問6

(1) B

速さの比を利用した旅人算の典型問題です。AとCが出会った地点からスタート地点までの距離を進むのにかかる時間がお互いに分かっているので、速さの比が求まります。これを利用して池の周りの長さを比で表し、BとCが出会うまでにかかる時間を求める式を立てるとBの速さの比も求まります。これを利用してBが一周するのにかかる時間を求めます。

(2) B

(1)が求まれば易しい問題です。

(3) B

A、B、Cのそれぞれの速さの比が分かっているので、それぞれが池を1周するのにかかる時間が求まります。Cの時間だけ分数になるので、AとBが同時にスタート地点に戻る時間を先に求めれば楽になります。

大問7

(1) B

複雑な場合の数・規則性の問題です。まずは場合分けをしながら樹形図を書くなどして規則性があるか考えてみましょう。ある程度の規則に気付ければ工夫しながら書き出していけます。ただ、気付けないと時間がかかるので、その場合は思い切って飛ばしましょう。

(2) C

直前の3個を足していくトリボナッチ数列(フィボナッチ数列の別バージョン)になっています(解答例参照)。

気付ければすぐに答えが出ますが、分からないと時間だけが過ぎてしまうので、その場合は飛ばしましょう。

大問8

(1) B

最後は問題文を集中して読まなければいけない問題です。他の問題で時間がかかってしまって解けなかった受験生も多いと思われます。

グラフより初めの状態の面積が分かっているので、CDの長さが求まります。そして、A→D→C→Bと進むのに18秒かかったと書かれているので、点Pの速さが求まります。再びグラフより5秒で点Pと点Qが出会ったと分かるので、点Qの速さも求まります。

(2) B

グラフが折れ曲がっている瞬間がそれぞれどのような状態なのかを考えます。これによりアのときの時間が分かるので、この時の図形の面積を求めます。

長方形の面積が1440㎠なので、720㎠は全体の半分だと分かります。こうなるのはPQがOを通るときなので、この時間を求めます。

(3) C

グラフ上の相似を上手く利用する問題です。1回目はグラフの情報をそのまま利用すれば解けますが、2回目はまず18秒の直前でグラフが折れ曲がっているタイミングにおける面積を考えます。これを求めることで、相似の利用ができるようになります。

【まとめ】

今回は受験者平均点が51.9点、合格者平均点が65.9点と、数字は例年よりやや低めでした。例年では芝中学校をしっかり対策していた受験生とそうでない受験生との間で差がつくような問題が多いのですが、今回は場合の数の知識系の問題が多かったり、平面図形と比の問題では非常に基礎的な内容での出題だったりしたので、対策を固めていた受験生の中には悔しい結果になってしまった人もいたかもしれません。

今回では大問6と8は特に合否を分ける問題だったのではないでしょうか。大問6の速さの比と旅人算は苦手な受験生も多いですが、しっかりと本質を理解できれば確実に得点に繋がります。大問8は全体を通して時間配分が適切にできたかがカギとなります。時間に余裕を持たせた上で、(1)と(2)を確実に取りたい問題でした。

今回は若干例年通りの出題ではないと思いますが、基本的には傾向がかなり顕著な学校なので、やはり頻出の問題の対策を固め、時間配分を身につければ合格に大きく近づけるでしょう。最後まで諦めずに頑張りましょう!


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T. S.

この記事を書いたのは...

T. S.

今まで別の個別指導塾で主任講師として、中学受験では4教科+適性検査型を担当してきた。自身で指揮を執り、全科目の指導、カリキュラムの作成、面談など、中学受験全般に関わることを行ってきた。授業が無い日もずっと校舎にいたため、周りからは地縛霊だとささやかれていた。

大会で何度か結果を残すくらいにはゲームが得意で、プロを本気で目指していた時期もあったが、コロナ禍と重なってしまい断念。ただ、今でも時々大会に出ているので、もしかしたらYouTubeのおすすめで私の顔が流れてくることがあるかも?

教え子の成長を見守るのが生きがいです。大人になった教え子たちと共に塾を開業するのが将来の夢です。

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