2025年度海城中第1回の平均点は
受験者 47.4 合格者 56.0 例年に比べて少し高めでした。
2024年度が
受験者 38.2 合格者 45.1
と低かったので、揺り戻しで少し易しめにしたのかもしれません。
出題
大問4題 (物理・化学・生物・地学) 45分 80点満点
大問1 物理 電流
大問2 化学 気体の燃焼
大問3 生物 昆虫の共生
大問4 地学 流水のはたらき/地形と気候
例年通り物理→化学→生物→地学の順。知識問題・計算問題・作図・記述とバランスの取れた出題もいつも通りの印象です。
大問1と大問2の後半が例年より少し易しめだったことが平均点に影響していると思われます。簡単!というほどではないですが海城中を目指して勉強してきた受験生には取り組みやすい問題だったことでしょう。
海城中はとても男子校らしい出題です。誘導は少なめで、問われる内容の意図は汲み取りやすく、自分で組み立てて考えていくシンプルに難しい問題がたくさん出題されます。
それぞれの大問の中で、知識問題から始まり、思考問題・計算問題に移行し、難度がだんだん上がっていく形式になっています。各大問のはじめの方で取りこぼさないことはもちろん、出来るだけ後半まで解き進められるように力をつけていきたいところです。
原理を理解するのはもちろん、やや難レベルの計算問題の解法をしっかり身につけ、ゴリゴリ解き進められるパワーを持って臨みたいですね。
また、やや詳しい知識問題が出題されることがあります。今年度はアリの共生について知識が問われました。もちろんほとんどの受験生が触れたことのある内容ですが、知識問題として登場することは珍しい気がします。化学分野でもやや詳しい物質名が問われたことがあります。
大問1 物理 電流
例年難しめになることが多い海城中の物理ですが、今年度は難問がなく、標準レベルの問題が続きました。海城中志望なら解き慣れた電流の計算問題でしょう。逆にこれがスムーズに解けないとライバルに後れを取ってしまうと思われます。
大問2 化学 気体の燃焼
問4までとても平易な問題が続きました。問5は差がつきそうな化学計算、問6は捨て問に近い計算問題でしたが、処理のはやい子なら当てはめでも解けそうです。
大問3 生物 昆虫の共生
前半で知識問題、後半で実験の考察問題。アリの巣には様々な昆虫が居候している…という話は昨年「ダーウィンが来た!」で放送していた気がします。トレンドネタを入れてきましたね!少し難しいですが、実験の内容をよく読んで論理的に考えれば解ける面白い問題でした。
問4 地学 流水のはたらき/地形と気候
地図を見ながら京都の地形の成り立ちを考える問題。地図や問題文の中に情報が散りばめられていて楽しい問題です。海城らしさあふれる出題でした。
解説
問題の分類
知:知識問題
考:思考問題
計:計算問題
問題のレベル分け
〇:絶対に取りたい
△:この中から半分以上取りたい
×:捨てても可
大問1 電流
問1 知 考 〇
グラフから求めて確認してもよいですが、ほとんどの受験生が知識で解けたでしょう。
1つの電熱線の抵抗(値) 1÷0.1=10
2つの電熱線直列 4÷0.2=20
2つの電熱線並列 1÷0.2=5
解答 ア、エ
※この問題では「抵抗値」という表記になっていますが、「抵抗」で勉強してきた受験生がほとんどと思われます。このため、抵抗(値)と表記しました。
問2 考 計 〇
丁寧に説明がしてありますが、並列回路ではそれぞれ関係なく電流が流れることは海城中の受験生なら当たり前でしょう。
上の経路に流れる電流はグラフから0.15A
下の経路に流れる電流は 0.3A
電流計に流れる電流はその和になるので 0.15+0.3=0.45(A)
解答 0.45(A)
問3 考 計 〇
斜めになっている電熱線を少し見やすくしましょう。
分岐点と合流点を確認してかき直します。
上の経路 0.15A
真ん中の経路 0.3A
下の経路 0.3A
電流計に流れる電流 0.15+0.3+0.3=0.75(A)
解答 0.75(A)
問4 考 計 〇
これも海城中志望なら見慣れた問題でしょう。
親切に抵抗(値)が2.5倍と書いてあります。
抵抗(値)が2.5なので電流は2/5になります。
抵抗(値)1→電流①のときの電流が0.3Aなので
0.3×2/5=0.12(A)
解答 0.12(A)
問5 考 計 △
電流が0.24Aなので
電流①=0.3A
電流□=0.24A
電流は(4/5)←〇の4/5
抵抗(値)は5/4になります。
これは1+1/4なので、図のようになります。
解答
問6 考 計 △
端子aと端子dにつないだときは図のように流れます。
これが0.3Aなので、今までどおりですね。
1. 端子aと端子bにつないだときは図のように流れます。
この場合は
解答 0.6(A)
2. 端子a端子cにつなぐと図のようになります。
ショートしてしまいますね。
解答 ×(A)
3. 端子b端子cにつなぐと
解答 0.6(A)
4 端子bと端子dにつなぎます。
よく見る回路にかき変えられます。
解答 0.2(A)
問7 考 計 △
少し難しくなってきましたが、難問というほどでもありません。
「電熱線3つと導線1つ」という条件を見落とさないようにしましょう。
端子bと端子dにつなぐとショートしていることからここは導線でつながっていることが分かります。
端子aと端子bにつないだときに0.6Aなので
この間は並列に2つの電熱線が入っていることが分かります。
端子aと端子cにつなぐと0.3Aなのでこの間は電熱線1つです。
これで電熱線3つと導線1つが入りました。
この回路に端子aと端子dにつなぐと電熱線2つの並列になるので、これで合っていることが確認できます。
解答
ショートしているところから考えるとスムーズに解けますが、解き始めるポイントによっては時間がかかってしまう問題です。
その場合はとばす方が賢明です。
問8 考 計 △
端子bと端子cにつなぐと
問6の④と同じ形ですね。
端子cと端子dにつないでも同じ形になることから、正解だと確信できます。
解答 0.2(A)
大問2 気体の燃焼
問1 知 〇
ここは解説不要の知識問題ですね。
解答 (1) 液体A 過酸化水素水 固体B 二酸化マンガン
(2) 水上置換法
(3) ア、エ
問2 知 △
二酸化炭素と混ぜると白くにごる水溶液→石灰水ですね。
石灰水は消石灰=水酸化カルシウムが溶けた水溶液なので、水酸化カルシウム水溶液です。
解答 エ
この名称で呼ぶことは少ないですが、しっかり取りたい問題です。
問3 計 〇
式を書いて整理しましょう。
解答 190(L)
問4 計 〇
酸素が25L使われて、二酸化炭素が15L発生
酸素が40-25=15(L)余っているので
燃焼後の気体は 15+15=30(L)
解答 30(L)
問5 計 △
つるかめ算で解いておきます。ポイントは気体1L当たりの水の重さを出しておくことです。ここがつるかめ算の図のたての値になります。
解答 6(L)
問6 計 ×
こちらもつるかめ算の解法を紹介しておきます。
メタン1L燃えると
メタン + 酸素 → 二酸化炭素 + 水
10L 20L 10L
1L減 2L減 1L増
メタンが1L燃えると気体は
3L減って1L増える → 2L減る
プロパン + 酸素 → 二酸化炭素 + 水
10L 50L 30L
1L減 5L減 3L増
プロパンが1L燃えると気体は
6L減って3L増える → 3L減る
はじめ気体は 20+100=120L、燃焼後は65Lなので 120-65=55(L)減っています。
メタンとプロパンの合計が20L、減った気体の合計が55Lなので、つるかめ算を利用して解けます。
解答 5(L)
減った量に注目するのがポイントでした。
消去算を用いて解いてもよいでしょう。
ほぼ算数の問題なので、方針がすぐに立てば解く/時間がかかりそうならとばす、でよいでしょう。
大問3 昆虫の共生
問1 知 〇
図から、膨らんでいる部分を胃と考えると、腹の部分になります。
解答 腹
問2 知 〇
(1) アリの幼虫の図
ア.カブトムシ イ.モンシロチョウ ウ.アリ エ.ナナホシテントウ オ.シロアリ
(2) アリの変態様式
解答 (1)ウ (2)完全変態
問3 知 〇
アリとアリマキ (アブラムシ) の共生については、受験生なら知っているでしょう。
解答例 アリの利益 アリマキから甘い汁をもらう。
アリマキの利益 天敵のテントウムシから守ってもらえる。
問4 考 △
図1を見て考える問題です。胃が腹にあることを問1で答えさせたのもヒントになっています。
解答 胃の手前が細くなっているので固体が通れないから。
問5 考 △
(あ)は個体数が変わらず、(い)は減っています。
<文2>からアリヅカコオロギAは昆虫の死がいを食べているので、これを食べればよいでしょう。
アリヅカコオロギBはアリXから口移しで食物をもらっているので、エサは液体と考えられます。砂糖水を食べればよさそうです。
しかしこれではどちらの個体数も減らないはず…
ここで気づきたいのは「アリXから口移しで」のところです。アリヅカコオロギBは自力で砂糖水を飲むことが出来ないのかもしれません。
アリヅカコオロギAが減る理由はないので、減っていくのはアリヅカコオロギBと考えられます。
解答 (あ) A (い) B
問6 考 △
アリヅカコオロギBはアリXに食物をもらっているので、アリXに対して仲間のような行動をとっていると考えられます。よって、アリのからだをなでているのはBの方でしょう。
解答 (う) B (え) A
問7 考 △
アリヅカコオロギAは実験2でアリXに攻撃されています。さらに、実験3でアリYに攻撃されても全滅はしていません。→攻撃されても大丈夫!と考えられます。
アリヅカコオロギBは実験2でアリXに攻撃されず、実験3で攻撃されて全滅してしまいました。→アリXをなでることでにおいをつけて、仲間になりすましていたのではないかと予想できます。
解答 イ、エ
大問4 流水のはたらき/地形と気候
問1 知 〇
河川が形成した地形…図1から考えて、扇状地でしょう。
解答 扇状地
問2 知 〇
河川が山地から平野へ出て、流速がより(あ 遅く)、水深がより(い 浅く)なるところで、侵食作用や(う 運搬)作用よりも(え 堆積)作用が優勢になることで形成される。
ここで、問1が「扇状地」だったことに確信が持てるでしょう。
解答 (1) エ (2) (う)運搬 (え)堆積
問3 考 △
図1から、北の方が標高が高いことが分かります。文字通り「上がる」のですね。
解答例 北へいくほど標高が高くなっているから。
問4 知 考 〇
白っぽい岩石…花こう岩ですね。
解答 イ
問5 考 △
保津川はもともと蛇行していた→蛇行は平野で起こるので、もともと平野だったところが隆起して山地になり、谷になったと考えられます。
侵食よりも隆起の方が速いと谷ではなく、高いところを流れる川になってしまうので、侵食の方が速かったと考えられます。
解答 イ
問6 考 〇
残丘→丘、小さな山を探せばOK!
解答
問7 考 △
グラフの読み取りです。平均気温(実線)、日最高気温の平均、日最低気温の平均、グラフがいくつかあるので、どこを読むのかを間違えないようにしたいところです。
(1) 平均気温を見ます。
(か) 京都 28.5℃ 大阪 29℃
(き) 京都 4.9℃ 大阪 6.3℃
解答 (か) ウ (き) オ
(2) 真冬の日最高気温と日最低気温
(く) 京都 9.2℃ 大阪 10℃
(け) 京都 1.5℃ 大阪 3℃
解答 (く) ウ (き) オ
真冬の気温が、最高気温は0.5℃程度しか変わらないのに、最低気温は1.5℃も京都の方が低い理由→夜間に熱が逃げて盆地の底の空気が冷えると、冷たい空気は重いため底にたまってあまり動きません。このため、京都の最低気温は低くなると考えられます。
解答例 冷たくて重い空気が盆地の底にたまって動きにくくなるから。
京都の住所表記や歴史と組み合わせて考えるのが楽しい問題でしたね!
にほんブログ村にも参加しています。ぜひ下のバナーをワンクリックで応援もお願いします!