卒業生の大部分が早稲田大学に進学する早稲田実業中等部。
恵まれた環境の中、大学受験を意識せずに個々の生徒がそれぞれの目標に向けて努力を重ねる人気校です。
もちろん中学受験では共学校の最難関校として君臨しています。
特に募集定員の少ない女子は首都圏屈指の難度でも知られています。
ここからは2021年の早稲田実業中の算数の入試問題を通して、どのように取り組めば合格を勝ち取ることが出来るのかを考えていきましょう。
今回使用する指標
〇:合格のためには必ず正解したい
△:出来る生徒と出来ない生徒の差がつく
×:正解できる生徒は少数、出来なくても問題は無い
として小問ごとに見ていきます。
解答例はこちら
大問1
(1) 〇
分数、小数混合の面倒な逆算です。
我慢強く処理し、確実に正解しましょう。
(2) 〇
歯車と回転数の基本問題です。
まずはABCの歯数の比を連比で求め、噛み合う歯車同士の「歯の数×回転数」が同じということから考えましょう。
こちらも確実に正解すべき問題です。
(3) △
意外と難しい確度の問題です。
対称性を利用して、△CDGと△CBGが合同になることに気づきましょう。
あとは24+あ=∠GBCと外角を利用します。
もし色々な数値を書いても思いつかないならば、いったん後回しにしても良いでしょう。
(4) 〇
正面から見た図の相似を利用し、大きな円錐から小さな円錐と円柱を除きます。
立体図形と影の問題は難問が多いものの、この問題は易しいです。
早稲田実業中の合格を目指すならば確実に正解しておきましょう。
大問2
(1) ① 〇
流水算の基本テーマですが、設定に一捻りがあるぶん手が止まってしまう受験生もいたことでしょう。
「同じ向きなら速さの差は流速に影響されない」「向かい合って進むなら速さの和は流速に影響されない」ことに注目して立式すれば、普通の和差算として解くことが出来ます。
決して難しい問題ではないので、早稲田実業中に合格を目指す受験生なら正解しておきたいところです。
(1) ② 〇
距離が同じなら「速さと時間は逆比」という、速さと比の最重要テーマに注目しましょう。
消去算として立式できれば決して難しくはありません。
(1)①②はいずれも基本そのままという出題ではありませんが、上位校への合格を目指すなら確実に正解したい問題です。
(2) △
2021という年号を早稲田実業中では連続数として課してきました。
こちらの着眼点は2021年の駒場東邦中の算数の出題と同じですね。
この問題では2つの12、23…1920のような2つの連続数のほか、例で挙がっていた123、234…のような3つの連続数、1234の4つの連続数まで気を付ける必要があり、なかなか正解しきれないのではないでしょうか。
大問3
(1) 〇
表の読み取りの基本問題です。
こちらは確実に正解しておきましょう。
(2) 〇
「表の読み取り」と「つるかめ算」の複合問題ですが、中学受験においては典型題です。
アとイが合計何人で何点分なのかを丁寧に計算しましょう。
早稲田実業中の合格を目指すなら落とせません。
(3) △
やや珍しい設定の問題です。
「平均点が5点上がった⇒合計点が100点上がった」と考え、3人で100点上がる方法を考えます。
まず表1と表2を比べることで「もともと算数40点、国語20点」だった生徒の算数が20点上がって60点になったことが分かります。
残り80点は表を見比べることから「20点上がった+60点上がった」の場合しか作ることが出来ないことが分かります。
やや難度が高い問題なので、後回しにしても問題ないでしょう。
大問4
(1) ① 〇 ② 〇
フィボナッチ数列の典型題です。
早稲田実業中に合格を目指す受験生なら、気づいて正解すべき問題です。
(2) ×
中学受験ではあまり課されない「必勝法」の知識問題です。
相手に10を言わせるためには「自分が9を言えば勝ち」になります。
また自分が確実に9を言うためには、その前に自分が6を言って、相手に7だけか7・8と言わせれば良いことが分かります。
このように「9を言えば勝ち」=「6を言えば勝ち」=「3を言えば勝ち」と言い換えていくと、解答例のようにAの言い方で場合分けをすれば良いことが分かります。
この問題はそもそも知識として身についていない受験生も多かったことが想定され、また知識として持っていてもその後どう場合分けをすればよいか分からなかった受験生も多かったことでしょう。
歯が立たなかったとしても、特に合否には影響しないものと思われます。
大問5
(1) △
「山折り」と「谷折り」という誰しも一度は経験したことのある内容をテーマとしながらも、いざ問題に相対すると、どこから手を付ければよいか分かりにくい問題です。
「山折り」⇒「谷折り」の順に折ると、2つの折り目の間の長さの2倍ぶん短くなることに気づけば(2)以降にもつながります。
(2) ① ×
上の「山折り」「谷折り」で2cmと、下の「山折り」「谷折り」で2cm短くなった図を切ったと考えましょう。
底辺のBCを固定して折ったと考えると捉えやすいでしょう。
その後は折り返しの対称性を意識して戻していくだけですが、作業の正確さが問われる難問です。
(2) ② ×
(2)①が出来ていれば決して難しくはありません。
相似比から面積比を求めると、⑰=10㎠と分かるので、丁寧に逆算しましょう。
このような出題となった2021年度の早稲田実業中の算数の平均点は52.6点。
例年通りの難度と言うことが出来るでしょう。
ただ質には少々の変化がありました。
早稲田実業中らしい、その場での思考力を問う出題は大問2(2)と大問3(3)と大問5くらいで、例年以上に知識量で差がつく出題となりました。
2022年以降に早稲田実業中の合格を目指す受験生のみなさんは「平面図形・立体図形の典型題の解法の習熟」や「比の扱いの習熟」はもちろん、図形に関しては移動が関係する難問まで取り組めるよう練習しておきましょう。
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