算数の想定合格点 55 点
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早稲田大学の直属の附属校として人気を博す早稲田大学高等学院中学部、通称 早大学院。
長らく高大一貫教育を掲げていましたが、2010年に中学部を開校しました。
自由な校風、大学の雰囲気を先取りする機会も多い環境、各界に輩出する有力なOB達、もちろん卒業生のほぼ全員が早稲田大学に進学できる安心感など、魅力の尽きない学校で、中学受験においても難関校の一角として、附属校志望者の人気を集めています。
算数の出題は大問4つ。
難度の高い計算問題や図形、長い問題文の題意に沿って作業する問題など、独自の出題でも知られています。
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ここからは早大学院中の2020年の算数の出題において、どのように得点できた受験生が合格を勝ち取ることが出来たのかを見ていきましょう。
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〇:合格のためには必ず正解したい
△:差がつく問題なので、出来れば正解しておきたい
×:やや難度が高く、出来なくても仕方ない
として小問ごとに見ていきます。
解答例はこちら
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大問1
(1) △
例年のように、やや重ための計算問題です。
解答例のように通分の際に計算の工夫を行うことで、処理量を減らしましょう。
出来る限り短時間で正解したい問題した。
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(2) △
約束記号のやや難しめの問題です。
解答例のように、分母を積の式の形のまま処理することがポイントです。
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(3) △
簡単そうに見えて、意外と難しい問題です。
解答例では、まず1のカードを入れて、残りのカードを割り振る場合を考えましたが、(1枚,4枚)に分ける場合と、(2枚,3枚)に分ける場合で考えてみても良いでしょう。
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(4) ① △ ② △
平行の利用、折り返し、相似など平面図形の様々な解法の要素を組み合わせる良問です。
解答例のように錯角を利用することで、△CDEがCD=CEの二等辺三角形になることに気が付きます。
②も様々な解法が考えられます。
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大問2
(1) 〇
「ユークリッドの互除法」をテーマにした問題です。
長方形から最大の正方形を切り取っていくと、最後に残った正方形の1辺の長さが、もとの長方形の2辺の最大公約数になるという特徴があります。
今回は問題文の意味が少々分かりにくい書き方ですが、要するにxは何回正方形を切り取ったか(=最終的に分けられた正方形の枚数-1)となります。
もとが正方形なら切り取りようが無いので、当然x=0となりますね。
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(2) △
解答例のように図を描いたうえで式で処理すると状況が掴みやすくなりそうです。
今回は合計で6枚に切り分けることになるので、x=5となります。
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(3) △
(2)と同じように処理をしていきます。
今回は最終的に1辺が1cmの正方形を3枚切り取って終了です。
問われているものは最後に残った正方形の1辺であることにも気を付けましょう。
なおたしかに625と169は互いに素なので最大公約数は1になることが確認できました。
(4) △
(2)(3)を逆から考えます。
最終的に残る正方形の1辺は7cmで合計が4枚、ここまでに出てきた正方形の長さはすべて異なる、という条件から解答例のように切り取ったことが分かります。
大問2は類題を解いたことがあるかどうかで、時間や正答率に差が出たと言えそうです。
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大問3
(1) ① 〇 ② 〇 ③ △
問題文が長く、やや条件設定も複雑です。
「例えば」を読み込み、作業を確認することで題意を正しく捉えましょう。
①と②は例と同じように作業するだけなので確実に正解しておきましょう。
③は①と②の条件を同時に満たすと考えます。
解答例のように数直線で捉えると分かりやすいでしょう。
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(2) △
(1)が誘導になっています。
条件が6つも与えられ、複雑な印象を受けますが、A~CとC~Eを分けて考えましょう。
丁寧に計算し、それぞれの最小値と最小値、最大値と最大値を加えれば解答を導くことが可能です。
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(3) ×
(2)と同様に、B~Dの最小値と最大値を求めると72~82と分かります。
あとは解答例のように、最小・最長の場合に分けて、条件をすべて満たすように慎重に調べていきましょう。
作業量が多く難度も高めなので、正解できなくても問題ありません。
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大問4
(1) 〇
正面から見た図で考えましょう。
半径5cmの半円の弧の長さを求めれば良いと分かります。
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(2) 〇
(1)と同様に正面から見た図で状況を捉えます。
解答例のように長い辺と短い辺の長さの比が2:1の直角三角形を見つけられれば、3つの角が30° 60° 90° になることを利用できるでしょう。
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(3) △
題意を捉えにくい問題です。
左右のどちらも、元の位置から150°~180°動いた位置にいる時を考えましょう。
丁寧に状況を調べると6秒後にどちらも正方形に重なることが分かります。
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(4) △
左は4秒周期なので、右側も4の倍数かつ16以下が周期になると分かります。
4秒、8秒の時は2回以上同時に戻り、また2秒の時も(3)より6秒後に接することが分かります。
こちらも題意を捉えにくい問題でした。
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2020年も2010年の開校以来の大問4つという形式が継続されました。
早大学院と言えば高難度な図形の出題で知られますが、今年度は図形の出題割合がやや低めになりました。
ただ題意を捉えにくい出題が多く、合格ラインは例年通り低めでしょう。
おそらく半分強あれば、算数に関しては充分に合格ラインに達していると思われます。
合格のためには、大問3の(1)①②や、大問4の(1)(2)などの〇レベルの問題をを確実に正解したうえで、自分の得意な△をどのくらい拾えるかがポイントになるでしょう。
もし大問2のユークリッドの互除法の類題を経験したことがあれば、かなり有利になったものと思われます。
来年以降、早大学院中の合格を目指す皆さんは、過去問を通して難度を適切に見極める練習も積んでおきましょう。
難しそうに見える大問2以降の問題でも、案外(1)(2)は簡単に正解できるものですよ。