算数の想定合格点 60 点
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自由な校風で知られる、女子御三家の一角の女子学院。
長い歴史を誇る女子校で、もちろん進学実績は抜群です。
また女子学院で個性を磨かれたOG達は勉強だけにはとどまらず、文化や芸術まで多様な分野で活躍しています。
入学試験の算数では首都圏最高レベルの処理速度が求められることで知られています。
特に以前は「易しめの問題を『大量に』『速く』『正確に』解く」ことが全面に課された出題になっていました。
ただ近年の問題量はやや減少傾向で、そのぶん難度が高い問題が並ぶセットが2019年を筆頭に散見されるようになってきています。
2020年、2021年は以前のような「易しめの問題を速く正確に」という出題になった中、2022年の出題がどのような傾向になるか注目されていました。
ここからは以下の基準で、2022年の女子学院中の算数の出題を見ていきます。
今回使用する指標
〇:合格のためには必ず正解したい
△:差がつく問題なので、出来れば正解しておきたい
×:やや難度が高く、捨て問と判断しても差し支えない
として小問ごとに見ていきます。
解答例はこちら
大問1
(1) 〇
基本的な計算問題です。
小数部分を分数に換算して計算することで、処理量を減らしましょう。
答えの数値がやや汚くなりますが、確実に正解しておきたい問題です。
(2) 〇 〇
「逆数とは何か?」の確認問題です。
積が1になる数なので、仮分数にして分母と分子をひっくり返せば正解にたどり着くことが出来ますね。
こちらも易しいです。
(3) ア 〇 イ 〇 ウ △ エ △
引かれている線の数が非常に多く、どこから考えれば良いのか捉えにくい角度の計算問題です。
基本的にはアイウエの順に、分かった数値を記入しながら考えていくと良いでしょう。
半径に注目した二等辺三角形の使い方がポイントです。
(4) 〇
1辺が5cmの正方形の対角線の長さを□とおいて考えましょう。
□が求められなくても、□×□なら求められるという発想は中学受験において定番ですね。
女子学院中合格を目指す受験生なら難なく正解できるでしょう。
(5) 〇
様々な解法が考えられる相似の基本問題です。
解答例ではADの中点とBCの中点を結ぶことで2組の砂時計型の相似を利用しました。
(6) △ △
条件のやや多い旅人算です。
線分図でもダイヤグラムでも、自分の得意な方法で状況を整理することから始めましょう。
なお解答例では問われている順でJ子さんのもとの速さから求めていますが、父が分速80mか分速75mで合わせて27分16秒で1995m進んだことが分かるので、2箇所目の□をつるかめ算で求めた方が、よりスムーズに解けそうです。
大問1の中では難しめで、差がつく問題だったと言えるでしょう。
大問2
(1) 〇
題意の確認問題です。
条件に合う素数を丁寧に書き並べていきましょう。
(2) △
20以上50未満の素数は23、29、31、37、41、43、47の7個になります。
3個×3個×1個で条件に合うものを求めましょう。
やや題意の取りにくい問題です。
大問3 △ △
女子学院中の算数の出題で散見される推理算です。
3人の得点状況を表で整理しましょう。
どこを手掛かりにするのか、やや捉えにくいところですが、3回のうち2回以上同じ点数を取った人がいないことに注目すると以下のように思考を組み立てることが可能です。
・3人それぞれの最も低い点数は,すべて異なっていました
⇒Kの最も低い点数が1点なら、残り2人の最も低い点数は2点と3点
⇒最も低い点数が3点の人は残り2回が4点と5点で、この人が最高点
これらの内容から条件を絞り込んでいきましょう。
もし時間に余裕が無いなら、時間をかけずにあてはめて、当たればラッキーくらいの心づもりでも構わないでしょう。
いずれにせよ、まだ中盤の大問なので時間をかけすぎないことがポイントです。
大問4 △ 〇 〇 △ △ △
最初の□の長方形Aをどこにつけるか?は想像力も問われるので、思いのほか正解は難しいかもしれません。「こ」と「ふ」につければ良いと気づきたいところです。
2つめの□以降の「立体の辺を切って展開図にする」という問題は、平成21年の桜蔭中や平成31年の栄光学園中など、難関校で散見されるテーマです。
それぞれの面の2つの辺がくっついて立体図形における1つの辺を作ることに注目すると、
(全て切り離した時の辺の総数 - つながっている辺の箇所×2)÷2で、切る辺の数が求まります。
丁寧な誘導がついているものの、同じタイプの問題を過去に経験したことの有無によって、解答に至るまでのスピードに大きな差が出てしまったことでしょう。
得点差がつく問題です。
大問5
(1) 〇
まずはアの部分に注目するだけなので易しいです。
グラフの最初の3分で36cmの深さになったことに注目しましょう。
(2) A △ B △ C △ D △
Aは真上からから見た図で、どの部分に何分かかるかを考えましょう。
こちらは枡のような形になっているので、間の部分にも水が入ることに気を付けましょう。
Bは18分で36cmなら33分なら何cmになるかを考えるだけです。Aが求まっているなら易しいですね。
Cは33分で2つ目の容器の外側が満水になったことと、真上から見た時の面積比を利用して考えましょう。
Dはつるかめ算です。
発想自体は難しくはないので、Cまで解き進められているならば正解しておきたい問題です。
この大問も大きな得点差がつきそうです。
大問6 △ △ ×
テーマは仕事算ですが、どこから手を付けたら良いのかが分かりにくい問題です。
解答例ではBが作業を終える時間を①として立式して処理しました。
Aが2/3を終える時間は、Aが1/4を終える時間の8/3倍であることや、Cが2/3を終える時間でBが5/6を終えられることを1つの式で整理しましょう。
方針が立たないならば後回しにして、これまでの問題の見直しに充ててしまっても良かったと言えそうです。
2018年は易、2019年は難、2020年は易、2021年は易という難度で推移していた女子学院中の算数。
2022年は「やや難」という最も学力差のつく出題になりました。
おそらく受験者平均点は50点台前半、合格者平均点は60点台後半あたりでしょうか。
女子学院の従来の頻出分野が中心ながらも、大問2以降が普段よりやや難しめという構成は、女子学院対策の軽重と素養の両方を測ることが可能なバランスの良い出題と言えそうです。
この出題で合格点を上回るための目安としては「〇の箇所で11問中10問くらい正解して30点強と、△の箇所を半分正解して30点、あわせて60点」と言ったところでしょう。
大問4の立体図形や大問5の水量グラフで完答できると、合格をかなり引き寄せられたことでしょう。
2023年以降に女子学院中合格を目指す受験生の皆さんにとっても、2022年の女子学院中の算数の出題はかなり参考になります。
比を感覚的に使いこなせるよう練習した上で、過去問演習を重ねて自分ならではの女子学院対策を確立しましょう!
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