算数の想定合格点 75 点
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自由な校風、伝統、雰囲気のある校舎、進学実績、多彩な業界で活躍するOGたち・・・
様々な理由で首都圏女子の憧れでありつづけている女子学院。
中学受験では4科目全てにおいて、スピードや正確さといった、いわゆる処理力が求められます。
算数においては例年、合格のためには70%を超える高得点が求められてきました。
ただ昨年2019年は極端に難度が上昇し、多くの受験生を戸惑わせる結果になりました。
前年の難度の急上昇を受けて、2020年はどのようなレベル設定になるのか注目されている中で実施された女子学院中の入試の算数において、どのように得点できれば合格を勝ち取ることが出来たのかを見ていきましょう。
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〇:合格のためには必ず正解したい
△:差がつく問題なので、出来れば正解しておきたい
×:やや難度が高く、部分点を拾うことが出来れば充分
として小問ごとに見ていきます。
解答例はこちら
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大問1
(1) 〇
基本的な逆算です。
0.325= 3 / 8 と早とちりしないよう気を付けましょう。
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(2) 〇
30°が出てきたら正三角形を疑う、という基本通りに考えましょう。
頂角が30°の二等辺三角形2つと言い換えることが可能です。
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(3) ア 〇 イ △
女子学院で頻出の角度の問題です。
この問題では、半径を利用した二等辺三角形を利用しましょう。
まずは2つのおうぎ形の交点と点A、点Bを結んで正三角形を作り、その次に、角Bからイを引いた角を頂角とする二等辺三角形に気づきましょう。
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(4) 〇
ジャガイモ1個を①として、ジャガイモ1袋、ニンジン1本がどう表されるかを考えましょう。
計算量も少ない問題なので、確実に正解しておきましょう。
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(5) △
1日おき⇒2日周期、2日おき⇒3日周期、1日おき⇒4日周期となるので、最小公倍数の12日ごとに一緒に活動します。
一方、1週間は7日なので、7と12の最小公倍数の84日後を求めればよいと考えられます。
多くの受験生が苦手とする日暦算ですが、この程度のレベルの問題ならば正解しておきたいところでした。
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(6) 〇
46°を〇、44°を×として、図に書き込んでいきましょう。
基本的な問題なので落とせません。
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大問2
(1) 〇
相似の基本問題です。
答えが分数になりますが心配は不要です。
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(2) △
分母の17で、直線部分と弧の部分を通分して計算しましょう。
最終的には小数第1位で割り切れます。
計算力で差がつく問題です。
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大問3
(1) 〇 (2) △ (3) 〇
言葉の定義を問う、珍しい設定の問題です。
(2)の「逆数」は「分数・小数」の導入の際や「逆比」の概念を学習する際に学ぶ内容です。
「分子と分母を逆にする」という作業を覚えていたら、理解が曖昧でも正解できたことでしょう。
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大問4
ア 〇 イ △ ウ 〇
グラフの折れ目が、どの頂点に対応するかを確認しましょう。
問題の条件がやや複雑ではあるものの、曲線部分を除けば、どの辺を移動する際も同じ①秒かかることに気づきたいところです。
この3問ではイの難度がやや高いです。
解答例のように9から8に何秒戻るのかを考えられると良いでしょう。
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大問5
(1) 〇 〇
女子学院で頻出の条件整理と推理の問題です。
まず(1)では問題の指示に沿って、Fに〇をする場合やHに〇をする場合を調べてみましょう。
いずれも同じ答えになることが分かります。
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(2) A △ G △
求めるもの以外の3つが具体的に与えられている組み合わせを見つけましょう。
Aの場合はF,K,Pを、Gの場合はB,I,Pを選ぶと良いでしょう。
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(3) ×
(2)と同じように1つ1つ調べて行けば答えに辿り着くことが可能です。
やや時間がかかるので、後回しにすることも戦略として考えられます。
もし1行目と2行目や1列目と2列目のように、隣り合う数字の差が等しくなっていることに気が付けると所要時間を短縮することが出来たことでしょう。
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大問6
(1) △ △
女子学院では頻出の「速さと比」が最終問題として配置されました。
(1)では解答例のように、進んだ距離を速さの比として消去算に持っていけると良いでしょう。
算数の実力差が表れる良問です。
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(2) △ × △
「複数の人物が行ったり来たりする」問題は、ダイヤグラムで整理すると非常に解きやすくなります。
解答例のようにダイヤグラムの相似を利用しましょう。
(2)の2つめはつるかめ算で処理しますが、もし充分な時間を残すことが出来なかったら、解き切れなくても仕方がないのかもしれません。
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このように2020年の女子学院中の出題は、極端に難度の高かった2019年と比べて非常に取り組みやすくなったと言えるでしょう。
2017年、2018年のような「基本的な問題を速く正確に処理する」という、例年の女子学院対策が活きる出題でした。
全25問のうち、〇は12問、△は11問、×は2問なので、〇で11/12、△で7/11、×で1/2を正解できれば19/25で、およそ76点になり、ここが合格点と言えるのではないでしょうか。
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2021年以降に女子学院中の合格を目指す受験生の皆さんは、まずは基本的な解法知識の習熟を目指しましょう。
女子学院では各分野、まんべんなく出題されるので、頻出分野に偏った学習は効果が見込めません。
次に過去問演習を通してのスピード演習は必須です。
「速く正確に解く」ことはもちろん重要ですが、時間のかかりそうな問題を見極めて、後回しにするという戦略も女子学院を目指す上では身に着けておく必要があります。
最後に難問に対する柔軟なアプローチの仕方も侮ることが出来ません。
2019年のような高難度の問題が並ぶことも考えられますし、2020年の大問6のダイヤグラムのように、最難関校では頻出の解法知識は使えるようにしておきたいところです。
皆様の頑張りを心より応援しています。
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