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制服がなく、校則もほとんどない自由な校風で知られる女子学院中。
高い自主性を育まれたOGが多方面で活躍していることでも知られます。
もちろん中学受験における入学難度は首都圏トップクラスで、女子御三家の一角としても知られています。
ここからは2021年の算数の出題を通して、どのような戦略で取り組めば合格を勝ち取ることが出来たのかを考えてみましょう。
今回使用する指標
〇:合格のためには必ず正解したい
△:差がつく問題なので、出来れば正解しておきたい
×:やや難度が高く、部分点を拾うことが出来れば充分
として小問ごとに見ていきます。
解答例はこちら
大問1
(1) 〇
基本的な、分数・小数混合の計算問題です。
やや煩雑ですが、確実に正解したい問題です。
(2) 〇
一見、難しそうですが左辺を計算すれば、よくある約分の問題だと気づくことが出来るでしょう。
左辺では分子と分母の差が3、右辺では分子と分母の差が33になることから、左辺の分子を11倍すれば良いことが分かります。
(3) ア 〇 イ 〇 ウ 〇
女子学院で頻出の角度の問題です。
半径を利用した二等辺三角形を見つけるというテーマは前年の2020年にも出題されたばかりですね。
女子学院の角度の問題としてはかなり易しい部類なので、確実に正解したい問題です。
(4) 〇
原価を①円として、AとBそれぞれの場合で立式して比べる、いわゆる「マルイチ算」です。
数学で言うところの一次方程式の計算処理になりますが、女子学院中合格を目指す受験生なら確実に正解すべき問題です。
(5) △
[1]では〇〇●●の4つが周期になります。
最後に黒を1つだけ置いたのか2つ置いたのかで答えが2通りになることが分かります。
[2]では●〇〇の3つが周期になります。
最後に黒を置いて黒が30個余ったということは、周期を繰り返したあと、黒が1個+30個余ったことが分かります。
あとは黒の個数を①と置いて処理しましょう。
誘導は親切ですが、難度はやや高めです。
(6) △
△BCDと△DEFの相似は特に役には立ちません。
AC=15、CE=4として面積を設定しましょう。
△ADFは両方の長方形の面積の半分だと分かるので、2つの長方形の面積は同じであることも分かります。
やや気づきにくい問題で、得点差がついたことが考えられます。
大問2 〇
最大公約数の基本問題です。
(あ)を48で割った数と(い)を48で割った数が、互いに素で和が8になる場合を求めます。
テキスト導入レベルの問題ですし、女子学院中合格を目指す生徒なら絶対に落とせません。
大問3 〇 〇
基本的なニュートン算です。
「もともと100個」「1分あたり5個増える」と設定し、式でも線分図でも慣れ親しんだ解法で確実に正解しましょう。
(2)はつるかめ算との複合問題ですが、こちらも易しいです。
大問1(5)(6)と、やや難度が高いものが続きましたが、大問2・3が易しかったためペースを取り戻した受験生も多かったことでしょう。
大問4
(1) 〇 (2) 〇 (3) 〇
(1)は円柱の解法知識の確認です、失点した受験生は皆無でしょう。
(2)も正12角形の面積という中学受験では常識レベルの問題です。
頂角が30度の二等辺三角形の面積を求め、12倍するだけです。
(3)もきわめて初歩的な問題です。
2021年度は問題用紙2枚目の大問2~大問4の易しさが目立ちました。
大問5 △
近年の女子学院中の算数で散見される調べ上げを伴う思考力系の問題です。
(い)に2・3・4・5が入った際に「3組の向かい合う面の和がすべて異なる」「向かい合う目の和が7にならない」の条件を満たすかを慎重に調べましょう。
制限時間の短さで知られる女子学院中でこの問題を解くか後回しにするかは判断力が問われますが、2021年度は大問2~大問4が非常に易しかったので、是非とも取り組むべきでしょう。
大問6
(1) 〇 〇
2020年に続いて女子学院では頻出の「速さと比」が最後の大問に配置されました。
(1)はグラフの読み取りです。
「早い方の兄は1往復が終わったら休む」「妹が16m泳いだら初めて兄とすれちがう」の両方を満たすものを探しましょう。
(2) 〇
初めてすれちがうまでに兄は24m、妹は16m進むことから、速さの比と時間の比を求めることが出来ます。
兄の片道を②秒、妹の片道を③秒として、兄が5往復、妹が4往復にかかる時間を整理しましょう。
速さと比の理解度で差がつく良問です。
(3) 〇
(2)が正解できていれば①に数値を書き込むだけで、ダイヤグラムの相似として解くことが出来ます。
前年の2020年でも同じような発想を利用しましたね。
(4) △
ダイヤグラムの続きを描き、1:4に分ける点を探しましょう。
120秒でダイヤグラムが左右対称になることを利用しても良いでしょう。
少々面倒ではあるものの、2021年度は難度が低く比較的時間にも余裕があるはずなので、最後まで丁寧に処理したいところでした。
2021年の女子学院中の算数の出題は易しい問題が大多数で問題量も少なめだったので、かなりの高得点勝負になったことが考えられます。
女子学院中合格レベルの実力を持った受験生が苦戦する可能性のある問題は、大問1の(5)(6)、大問5、大問6(4)くらいでしょう。
合格ラインは上記の4問から2問とその他の凡ミス2問で、80点以上と想定されます。
たしかに女子学院中の算数は「大量の問題を」「短時間で」「高得点勝負」というのが例年の傾向で、2021年も傾向通りと言うことが出来るでしょう。
ただ2年前の2019年はかなりの難問が並んだことがあり、また2020年、2021年と続けて難関校必須解法のダイヤグラムと相似が問われるなど、難関校らしい出題に質が変化してきているとも考えられます。
女子学院対策は「大量の基本問題を速く正確に!」だけではなく、通っている塾でトップクラスの成績を維持できるような、難問への対応力も磨いておきましょう。
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