中学受験の風物詩である入試激励。
毎年の2月1日の夕方のニュースで、その様子を見たことのある皆様も多いのではないでしょうか?
色々な塾の先生方がズラッと並んで、絶対に自身の担当生徒を見逃すまいと受験生を待つ姿。
知っている先生を見つけて、不安そうな表情から一転、嬉しそうに駆け寄る受験生。
我が子が先生と握手して送り出される姿を、一歩うしろで見守る保護者。
自信や不安が入り混じる中、今までの頑張りを信じて、頑張るしかないと前を向く受験生家族の姿には、毎年本当に胸が熱くなるものです。
関西では近くの体育館や公園で「絶・対・合・格・するぞー!」と互いを鼓舞する鉢巻の集団や、最終直前授業と称してホワイトボードで授業をしている塾も。
「合格したい!」「合格させたい!」という、受験生、保護者、講師の思いは同じです。
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さて今回のテーマは、講師視点での「入試激励」です。
毎年、受験直前期に話題になることの多い内容ですが、その頃には色々な事情や感情が渦巻くので、敢えて今の時期に書いてしまいます。
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入試激励に対する、塾や講師の考え方は色々
集団塾なら「指導していた生徒が数多く受験する学校に、原則として各校舎から1人の先生が激励に行く」ことが多いです。
集団塾の先生方は受験生のリストを手に、最初の生徒が来校する前から最後の生徒が入っていくまで、およそ1時間半にわたって熱く激励を続けます。
生徒にとっても、集団塾に所属していれば、どの学校の受験に行ったとしても、ほぼ確実に習ったことのある先生が応援してくれるというのは心強いことでしょう。
ただ、時は2月の早朝。
先生方が自宅を出る頃は、外はまだ暗く、また氷点下の寒さは当たり前です。
年によっては大雪に見舞われることも。
それでも塾として最後まで生徒たちの力になろうとするもの。
試験会場にはマスクにコートという同じような格好をした、本当に多くの受験生がやってきます。
教室での格好と違ってはいても、担当生徒は「浮かび上がって」見えるもの。
激励の送り出しをもって「伝えきった」そんな満足感に浸る講師も多いものです。
(ちなみに激励の際は缶コーヒーと靴の中に入れるカイロが必須です)
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個別指導、家庭教師では入試激励は、思いのほか気を遣う場面が多い
「先生は〇〇君の激励には行ったのに、僕の激励は来てくれなかった」というような不平等は、どうしても生じてしまいます。
学生講師のように担当生徒が数名程度ならば激励をハシゴすることも可能ではあるものの、多くの生徒を指導するプロ講師ならば、全員の第一志望校に激励に行くことは物理的に不可能です。
また「個別で先生に習っていることを知られたくない」という受験生も一定数以上いるもの。
勝手に激励に行って、それがむしろ迷惑になってしまうことも無いとは言えません。
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じゃあ僕の場合はどうなのか。
「担当している生徒全員の第1志望校に応援に行きたい!」という気持ちはもちろんですが、物理的に不可能なので・・・
「最も必要としている生徒」 (乱暴な言い方をすれば、行けば確実に点数が上がる生徒、でしょうか) の激励に行くようにしています。
そのような生徒の例としては、
「集団塾に通っておらず、個別・家庭教師だけで中学受験に挑んでいる」
「極度のあがり症で、ちゃんとペンを持てるかどうかすら怪しい」
「お祭り気分で浮き足だって、普段よりもミスを乱発しそう」
などが挙げられます。
事前に保護者と相談の上 (受験生本人には内緒) だいたいの到着時間や場所も決めて激励に向かいます。
受験生の驚いた顔、嬉しそうな、でもはにかむような表情。
会話を交わして逞しく試験会場に向かっていく姿は「きっと大丈夫!」そう信じさせてくれます。
時間や場所を決めているので、集団塾で講師をしていた頃の激励よりも滞在時間は短く、確実に会うことが出来、1人の生徒にメッセージを伝えられる時間も長くなりました。
もちろん直接、激励に行けない生徒には最終授業や前日の電話で最後のメッセージを伝えます。
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ただ残念ながら、世の中には
「給料が出ないなら行かない」
「自社サイトの宣伝のために有名校の激励だけ塾を挙げて行く、あとは個々人で勝手に行くなら行けば?」
という講師や塾も一定数、存在します。
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自律学習サカセルは、志望校合格という共通の目標に向けて戦ってきた受験生親子を最後の最後まで応援したいと、改めて思います。